日本大百科全書(ニッポニカ) 「チドリ目」の意味・わかりやすい解説
チドリ目
ちどりもく
鳥綱の1目。この目Charadriiformesはシギ、チドリ、カモメ、ウミスズメなどの仲間を含む大きな目である。現在広く使われている分類は、チドリ亜目Charadrii、カモメ亜目Lari、ウミスズメ亜目Alcaeの3亜目の下に約16科を認めるが、チドリ類とシギ類を別の亜目とし、カモメ類はチドリ亜目に入れる分類や、カモメ類とウミスズメ類を独立の目とする分類も提唱されている。この目の鳥は、一般に渉禽(しょうきん)か沿岸性の海鳥で、ウミスズメは海洋性の潜水鳥である。いずれも地上に営巣し、雛(ひな)は早成性で、多くのものはコロニーをつくって繁殖する。しかし、チドリ目を特徴づける骨格および解剖学的特徴は乏しく、とくにツル目との区別は明らかでない。口蓋(こうがい)骨はチドリ目もツル目も主として分顎(ぶんがく)型で、一部のもの(ミフウズラ科、ヒバリチドリ科)が雀顎(じゃくがく)型ないし半雀顎型である。この二つの目はどちらも比較的古い群で、第三紀の初めに適応放散したと考えられる。一方、チドリ目の一部は、ハト目と若干の形態学的ならびに行動学的な共通点を有する。ハト目も分顎型の口蓋骨をもった群であるが、現在の貧弱な化石の資料から推察する限り、ハト目はチドリ目よりもっと新しいもののようで、それが事実なら両者の類似は生息環境への適応による相似であろう。
[森岡弘之]