百科事典マイペディア 「チヒョールト」の意味・わかりやすい解説 チヒョールト 20世紀で最も影響力をもったタイポグラファーの一人。ドイツ,ライプチヒ生れ。1923年のワイマールで行われたバウハウス展で見たモホリ・ナギやリシツキーらの作品に触発され,雑誌に《タイポグラフィーの基礎》(1925年)という声明文を発表。タイポグラフィーをコミュニケーションの手段と位置づけ,伝統的なスタイルを拒絶して,〈サンセリフ書体〉による実験的な文字組みを推進した。1928年には《新しいタイポグラフィー》を著し,1920年代から1930年代の〈ニュー・タイポグラフィー〉運動の中核的存在となる。1926年―1933年ミュンヘンの印刷専門学校で教鞭をとる。この時代に手がけた映画ポスターは前衛的タイポグラフィーの傑作とされる。1933年ナチスに追われスイスへ移住。1930年代後半より,ファシスト的教条主義だったとして自ら先導した〈ニュー・タイポグラフィー〉運動に否定的立場をとり,前衛的なスタイルは影を潜めた。1947年―1949年ペンギン・ブックスの装幀を手がける。1964年―1966年には〈サボン書体〉を制作。伝統的スタイルに立ち返っても,鋭い洞察と歴史への豊富な知識に支えられたチヒョールトの影響力は衰えることはなかった。 出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報