ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チルレル」の意味・わかりやすい解説
チルレル
Çiller, Tansu
トルコの経済学者,政治家。トルコ初の女性首相(在任 1993~96)。イスタンブールの裕福な家に生まれた。ボスポラス大学で経済学の学位を取得後,アメリカ合衆国に留学し,ニューハンプシャー大学,コネティカット大学,エール大学で学んだ。帰国して大学教員となり,36歳で国内最年少の正教授になった。1990年政権与党の正道党に入党。翌 1991年国会議員に選出され,スレイマン・デミレル首相率いる連立政権で経済担当国務大臣に任命された。国営企業の民営化推進と均衡予算を提唱したが,任期中に財政赤字が急増し,トルコの国際的な信用格付は下がった。1993年デミレルの後継として首相に選出。政権の座につくと,南東部のクルド人による社会不安の増大,および喫緊の歳出削減という課題に直面した。1995年12月の選挙ではネジメティン・エルバカン率いるイスラム主義政党の福祉党が勝利し,福祉党と正道党とで連立政権を樹立した。しかし,軍部が福祉党による国家のイスラム主義化を恐れてエルバカンに退陣を迫り,連立は崩壊。新連立政権の首班には祖国党のメスート・ユルマズ党首が選ばれた。チルレルは 1999年に正道党の党首に再選されたが,2002年の選挙で党がふるわず辞任した。
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