改訂新版 世界大百科事典 「チルンハウゼン」の意味・わかりやすい解説
チルンハウゼン
Ehrenfried Walther,Graf von Tschirnhausen
生没年:1651-1708
ドイツの自然科学者,哲学者。チルンハウスTschirnhausともいう。北ドイツのラウジッツの貴族の生れ。オランダのライデン大学で数学を学ぶ。またホイヘンスを通してデカルト哲学に接する。軍務の後,1674年以降学問に専念。そのころアムステルダムで若い医師G.H.シュラーと知り合い,彼の紹介でスピノザと文通を始め,75年にはパリで若きライプニッツと交わりを結ぶ。ライプニッツはチルンハウゼンとの交友が機縁となってスピノザの思想に深い関心を寄せる。こうしてチルンハウゼンは彼の豊かな知的関心と幅広い交友関係とによって,同時代の思想家たちの間の思想的交流に大いに貢献した。また科学的活動全般に積極的な興味を示し,主著《精神の医術》(1687)には合理主義的精神とともに近代科学の経験的探求の方法が顕著に反映している。晩年には領地に帰り,ベットガーとともにマイセン磁器の製造に携わったり,凹面反射鏡を考案し,レンズ工場や金属精錬所などを設けた。
執筆者:増永 洋三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報