改訂新版 世界大百科事典 「ツメダニ」の意味・わかりやすい解説
ツメダニ
前気門亜目ツメダニ科Cheyletidaeに属するダニの総称。大部分が自由生活性かつ捕食性で,貯蔵食品や室内塵に発生したコナダニ類やチリダニ類など小型のダニ類を捕食するために二次的に発生する。この意味から一見益虫のように考えられるが,食品中には異物として検出されたり,ヒトに移行して皮疹を起こしたりする。体長0.2~1.0mm,卵円形の胴部は乳白色を呈し,境界溝によって前胴部と後胴部に区別される。触肢はよく発達して強大で,末端に巨大なつめや櫛(くし)状の毛があるのが特徴。世界各国に分布し,日本にも広く見られるホソツメダニCheyletus eruditusは貯蔵食品やわらなどに見いだされ,小昆虫類やほかのダニ類を捕食する。その他,フトツメダニC.fortis,アシナガツメダニCheletomorphe lepidopterorumなど数種の近似種が知られており,穀類や畳に発生して,強いかゆみを伴った皮膚炎や人体内ダニ症の原因となっている。
執筆者:金子 清俊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報