ツユカビ(読み)つゆかび

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツユカビ」の意味・わかりやすい解説

ツユカビ
つゆかび / 露黴
[学] Peronospora

卵菌類卵菌類亜綱(二毛菌類亜綱)ツユカビ目のなかの1属の菌。ベトビョウキンという場合も多い。純寄生菌で広い宿主域をもち、世界に広く分布する。ツユカビ属はツユカビ目のなかでは比較的大きな属で、200種以上がある。宿主内(高等植物)で菌糸はよく発達し、宿主細胞の間隙(かんげき)を伸長する。多くは吸器を形成し、これによって宿主から養分を吸収する。胞子嚢柄(ほうしのうへい)は気孔の部分に形成され、規則正しく叉(さ)状に分岐する。胞子嚢は、胞子嚢柄の最先端の細くとがった部分に着生する。胞子嚢は側壁から発芽管を出して発芽するが、卵胞子もまた発芽管を生じて発芽し、宿主体外に伸長する。分類様式の一つとして、宿主植物1科に1種のツユカビを対応させたものがあるが、これには反論もある。このほか、卵胞子による分類様式も出されているが、卵胞子の形態に変異が多いため、分類基準とするかどうかには問題がある。ツユカビの代表的な種にはP. brassicae(カンラン、ハクサイのべと病菌)、P. spinaciae(ホウレンソウのべと病菌)などがある。

[曽根田正己]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツユカビ」の意味・わかりやすい解説

ツユカビ(露黴)
ツユカビ
Peronospora

藻菌類鞭毛菌類ツユカビ目 (露菌目) に属する高等植物の寄生菌。ツユカビの胞子がアブラナなどの葉や茎につくと,発芽して菌糸を伸ばし,その組織内に侵入する。やがて成長をとげると,気孔などから菌糸の枝を出し,それが分枝して各先端に1個ずつの胞子を形成する。この胞子は宿主の茎葉に到達し,湿度などの条件がよければ再び発育して,その植物に寄生する。

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