つれもなし(読み)ツレモナシ

デジタル大辞泉 「つれもなし」の意味・読み・例文・類語

つれ‐も‐な・し

[形ク]
なんの関係もない。つながりがない。
「―・き佐田岡辺に帰りば島の御橋に誰か住まはむ」〈・一八七〉
なんの関心もない。平気でいる。
葦垣あしかきりにし里と人皆の思ひやすみて―・くありし間に」〈・九二八〉
男女の間で、人の気持ちにこたえない。
「―・き人を恋ふとて山びこのこたへするまで嘆きつるかな」〈古今・恋一〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「つれもなし」の意味・読み・例文・類語

つれ‐も‐な・し

  1. 〘 形容詞ク活用 〙
  2. なんのゆかりもない。なんのかかわりもない。
    1. [初出の実例]「いかさまに 思ひけめかも 都礼毛奈吉(ツレモナキ) 佐保山辺に 泣く子なす 慕ひ来まして」(出典:万葉集(8C後)三・四六〇)
  3. なんの関心もない。心にもとめない。
    1. [初出の実例]「都礼毛無(ツレモなく)あるらむ人を片思(も)ひに吾は思へばわびしくもあるか」(出典:万葉集(8C後)四・七一七)
  4. 主に男女の間柄で、人の気持を汲もうともしない。人の気持にこたえようともしない。
    1. [初出の実例]「山吹の花取り持ちて都礼毛奈久(ツレモナク)(か)れにし妹を偲ひつるかも」(出典:万葉集(8C後)一九・四一八四)
  5. 表面何事もなげである。そしらぬふうである。
    1. [初出の実例]「冬の池にすむにほ鳥のつれもなくそこにかよふと人に知らすな〈凡河内躬恒〉」(出典:古今和歌集(905‐914)恋三・六六二)

つれもなしの補助注記

形容詞「つれなし」に助詞「も」の入った形。平安時代中期以降は「つれなし(つれない)」の形でのみ用いられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ドクターイエロー

《〈和〉doctor+yellow》新幹線の区間を走行しながら線路状態などを点検する車両。監視カメラやレーザー式センサーを備え、時速250キロ以上で走行することができる。名称は、車体が黄色(イエロー)...

ドクターイエローの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android