てまし(読み)テマシ

デジタル大辞泉の解説

て◦まし

[連語]《完了の助動詞「つ」の未然形+推量の助動詞「まし」》
事実に反することを、不満や後悔の思いで想像する意を表す。…すればよかっただろうのに。
「昼ならましかば、覗(のぞ)きて見たてまつり―◦まし」〈・帚木〉
上に疑問表現を伴って、ためらい迷う気持ちを表す。…してしまおうかしら。
「いと渡らまほしげにおぼいためるを、さもや渡しきこえ―◦ましなど思へど」〈宿木

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

てまし

( 連語 )
〔完了の助動詞「つ」の未然形「て」に推量の助動詞「まし」の付いたもの〕
現実にはしなかったことを、やや後悔の気持ちを込めて想像する意を表す。…だったらよかったのに。…しておくのだった。 「我が持てる三つあひに搓れる糸もちて付け-・ましもの今そ悔やしき/万葉集 516
(「や」「いかに」など、疑問の語を伴って)ためらいの気持ちを表す。…したらよかろうか。…してしまおうか。 「忍びてや迎へ奉り-・まし/源氏 明石

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

て‐・まし

(完了の助動詞「つ」の未然形に推量の助動詞「まし」の付いたもの)
(イ) 現実にはしなかった事を口惜しく想像する意を表わす。…すればよかったろう。…しておくのだった。
※万葉(8C後)三・二七七「早来ても見手益(てまし)ものを山背の高の槻群(つきむら)散りにけるかも」
(ロ) (仮定の条件句をうけて) …したことであったろう。…したはずだ。
※土左(935頃)承平五年一月八日「もし海辺にてよまましかば、波立ち塞へて入れずもあらなん、ともよみてましや」
② (多く疑問の語をうけて) ためらいの気持を表わす。…したらよかろう(か)。…してしまおう(か)。
源氏(1001‐14頃)明石「忍びてや迎へ奉りてましとおぼし弱る折々あれど」

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