岩石学辞典 「テラ・ロサ」の解説 テラ・ロサ 南部ヨーロッパで見られる一般に中生代および第三紀の石灰岩を覆っている赤い鉄に富んだ粘土.一般に石灰岩が地中海気候の条件で,風化作用によってその場で形成されたとされている.地下水の循環作用によって炭酸塩類は取り除かれ,垂直的に見ると珪酸分が上部帯に,鉄およびアルミニウムが下部帯に濃集する.現地性の赤い粘土からテラ・ロサ,ボーキサイトへと横方向に移行することがある.ある場合には変成岩や火成岩の上にテラ・ロサが覆い,残留鉱物が存在することがある.岩屑性のテラ・ロサ堆積物も存在する[Kispatic : 1912, Tucan : 1912, Vleton : 1972].地中海気候の潅木疎林下で石灰岩を母材として生成した赤色の土壌.冬期の温暖やや湿潤条件下で塩基がやや溶脱するが,表層の反応はほぼ中性であり夏期の高温乾燥条件下で加水酸化鉄の脱水が進んで赤色を示す.A層の腐植は少なく,B層は赤褐色から赤色で粘土や鉄,アルミニウムの加水酸化物に富み直接母材の石灰岩と明らかな境界で接している.土壌の深さは石灰岩の割れ目では深いが,塊状の母岩上では非常に浅い.地中海沿岸の石灰岩地帯に広く分布し,特にスペインに多い[木村ほか : 1973]. テラ・ロサ 礫質の明るい赤色のラテライト質で,鉄鉱石の塊を伴う土のブラジルの地方語[Harrison : 1910].テラ・ロサ(terra rossa)とは多少異なる. 出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報