日本大百科全書(ニッポニカ) 「テングノメシガイ」の意味・わかりやすい解説
テングノメシガイ
てんぐのめしがい / 天狗の飯匙
[学] Trichoglossum hirsutum (Fr.) Boud.
子嚢(しのう)菌類、ビョウタケ目テングノメシガイ科のキノコ。高さ3~8センチメートル。長い柄の先端に平たい紡錘形の頭部をつけた、しゃもじ形をした黒いキノコ。全面に暗褐色で微細な針状の毛を帯びる。子実層は頭部の全面を覆って発達する。子嚢は円筒形で、中に8本の子嚢胞子を収める。胞子は棍棒(こんぼう)形、暗褐色。子嚢には15ほどの隔膜があって多細胞、大きさ100~170マイクロメートル×5~7.5マイクロメートル。夏から秋、林内地上に生える。分布は日本全土のほか、世界各地と広い。
テングノメシガイはテングノメシガイ属Trichoglossumに含まれるが、このほか近縁の属として、菌体にテングノメシガイのような毛を帯びないタマテングノメシガイ属Geoglossum、全体に粘りを帯びるテングノハナヤスリ属Gloeoglossumがある。日本にはこれら3属で12種3変種が記録されている。
[今関六也]