チャワンタケ(その他表記)cup fungus

改訂新版 世界大百科事典 「チャワンタケ」の意味・わかりやすい解説

チャワンタケ
cup fungus

地上朽木上に発生する皿形,茶わん形,コップ形をした子囊菌類の盤菌類チャワンタケ目チャワンタケ科のキノコ。この皿状のものは子実体で,子囊盤とよばれ,有柄または無柄,直径1mm程度から数cmに及ぶものがあり,色も白,赤,黄,茶,紫,黒などさまざまである。形もほぼ円形であるが,皿の上縁が少し内側に曲がりこんだり,さらに大きくふくらんだり多様である。皿の全表面には子囊という胞子を入れた袋が上向きに並んでおり,風などの刺激により中の胞子が一斉に煙を吹き出すように放出される特性をもっている。オオチャワンタケPeziza vesiculosa Fr.は腐ったわらの上や古畳などの上に生じ,不規則にゆがんだ大型茶わん状の子実体で,白みがかった茶色である。ヒイロチャワンタケAleuria aurantia (Fr.) Fuckelは林地の土の上に多く,直径1~4cmの茶わん状の子実体をつくり,朱紅色~朱黄色。食用とされるものはほとんどない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャワンタケ」の意味・わかりやすい解説

チャワンタケ
ちゃわんたけ / 茶碗茸
cup fungi

子嚢(しのう)菌類、チャワンタケ(盤菌)目に属する茶碗(ちゃわん)形のキノコの総称。形は平皿形のほか、碗形、コップ形、足付きグラス形などさまざまであり、大きさも径1センチメートル以下から10センチメートルを超すものまである。碗の内側は白、黄、茶、赤、朱、黒などの色をもち、きわめて美しいものも多い。碗の内面には子実層が発達し、無数の円筒形の子嚢が並ぶ。子嚢胞子が成熟すると、子嚢の先端についた弁が開いて胞子は一斉に煙のように噴き出される。このような「蓋(ふた)付き子嚢」は、チャワンタケ類の特徴である。これらのキノコは、古くはチャワンタケ科にまとめられたが、現在では次のように多くの科に分類される。

 (1)ベニチャワンタケ科=シロコップタケ、シロキツネノサカズキ、ニクアツベニサラタケ、キリノミタケ、ベニチャワンタケなど。(2)クロチャワンタケ科=クロチャワンタケ、エツキクロコップタケなど。(3)チャワンタケ科=オオチャワンタケなど。(4)ピロネマ科=ヒイロチャワンタケ、キンチャワンタケ、アラゲコベニチャワンタケなど。いずれのキノコもよく目だつ。このほか、チャワンタケ類には、ノボリリュウ科、アミガサタケ科なども含まれる。なお、チャワンタケ類のキノコには、春に発生するものが多い。

[今関六也]

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百科事典マイペディア 「チャワンタケ」の意味・わかりやすい解説

チャワンタケ

子嚢菌類チャワンタケ科のキノコの総称で,世界各地に分布する。一般に子実体は肉質で径数mm〜10cm,皿(さら)状〜茶碗状で色は紅,黄,紫等。内面は平滑で子嚢が発達,各子嚢中には4〜8個の胞子ができ,成熟すると一斉に飛散する。有機酸の多い地上,朽木にはえ,ほとんど無毒。

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