ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デイフォボス」の意味・わかりやすい解説
デイフォボス
Deiphobos
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…しかし夫の留守中,トロイアの王子パリスに誘惑されて館を出奔したため,トロイア戦争が起き,パリスはこの戦争で弓の名手フィロクテテスに射殺された。パリスの死後,彼女はその弟デイフォボスDēiphobosの妻とされたが,トロイア陥落の際,彼はメネラオスに殺され,ヘレネはメネラオスに伴われて8年かかってスパルタに帰国したという。ただし,エウリピデスの悲劇《ヘレネ》(前412上演)のように,トロイアへ連れ去られたのは実はヘレネの幻影にすぎないとの伝承もあり,また帰国後の彼女についても多くの説がある。…
…この戦争で彼はヘレネの身柄と奪われた財宝をかけてパリスと一騎打ちに及び,勝利の寸前までいったものの,パリスを寵愛する女神アフロディテの妨害にあって,決着をつけることができなかった。その後,トロイア落城の際には,巨大な木馬の腹中にひそんで城内に入り,パリスの弟で,兄の死後ヘレネの夫となっていたデイフォボスDēiphobosを殺した。このとき彼はさらにヘレネをも殺そうとしたが,彼女の美しさに負けて和解し,8年を費やしてスパルタに帰りついた。…
※「デイフォボス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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