デモクラシーの本質と価値(読み)デモクラシーのほんしつとかち(その他表記)Vom Wesen und Wert der Demokratie

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

デモクラシーの本質と価値
デモクラシーのほんしつとかち
Vom Wesen und Wert der Demokratie

ナチズムの台頭するなか,一貫して徹底したイデオロギー批判者であり続けた H.ケルゼンが 1920年に発表した民主主義・議会主義擁護の書。ケルゼンによれば,民主主義とは「人民による支配」であり,これは「何が人民のためか」という内容によってではなく「だれが支配するか」という形式によって定義される。民主主義の理念は個人の自由にあるのだから,集団的決定にあたってはできるだけ多数が自由でありうる決定方式=多数決が民主主義原理に合致する。民主主義を形式に還元するケルゼンは民主制を価値相対主義によって根拠づけるが,ここには大きな難題がひそんでいる。すなわち民主制は民主制の破壊を主張する多数派に対しても開かれたものでなくてはならないのかという問題である。ケルゼンは多数の支持を得た集団的決定は内容のいかんを問わず承認されねばならないという立場を取るが,これには大衆独裁を肯定するものだという批判もある。

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