デュゲクラン(その他表記)Bertrand Du Guesclin

改訂新版 世界大百科事典 「デュゲクラン」の意味・わかりやすい解説

デュ・ゲクラン
Bertrand Du Guesclin
生没年:1320ころ-80

百年戦争期のフランス王軍総司令官。下級領主身分の出らしいが,1360年ブレティニー・カレーの和約以後,王軍の再建に当たり,ブルターニュ,スペインにおける,英仏それぞれを後ろ盾とする党派対立に介入し,69年戦争再開後は70年に王軍総司令官に就任し,戦局を有利に導いた。シャルル5世の人材登用の手腕を示す好事例であり,彼自身それにこたえて,休戦期間中に強盗団化した傭兵隊を王軍の戦力に加え,あわせて治安の回復を図るなど,現実主義的な処理能力を発揮した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デュゲクラン」の意味・わかりやすい解説

デュ・ゲクラン
Du Guesclin, Bertrand

[生]1323頃.ディナン,ラモットブローン
[没]1380.7.13. シャトーヌフドランドン
百年戦争前半期のフランスの軍人,将軍。ブルターニュの領主。レンヌ攻囲戦 (1356~57) で傑出した指揮者,猛将としての声望を確立。皇太子シャルル (のちのシャルル5世 ) に召しかかえられてノルマンディー,ブルターニュ,ギュイエンヌを平定。 1370年フランス軍総司令官となる。王家のためほとんど全生涯を戦陣のなかでおくったが,特に大きな戦功は王国内を横行する流浪傭兵隊の討伐と,ナバール (ナバラ) のシャルル (邪悪王)撃破 (コシュレルの戦い,64) である。スペインに遠征すること2度。南フランス鎮定戦の最中病死した。

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世界大百科事典(旧版)内のデュゲクランの言及

【ディナン】より

…市街は13~14世紀の城壁と城館に守られ,中世さながらの町並みが残されている。百年戦争の英雄デュ・ゲクランの出身地で,サン・ソブール教会にその墓所がある。農産物の市が開かれる商業都市であるが,中小工場も郊外に立地している。…

※「デュゲクラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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