日本大百科全書(ニッポニカ) 「デ・ロイテル」の意味・わかりやすい解説
デ・ロイテル
でろいてる
Michiel Adriaanszoon de Ruyter
(1607―1676)
オランダの提督。フリシンゲンに生まれる。11歳のころから海員生活に入り、航海、諸外国語の知識を身につけた。1652年第一次オランダ・イギリス戦争(1652~54)が始まると、ゼーラント海軍管区の司令官としてプリマス沖、ダウンズ沖などの海戦で戦略家として名声をあげた。翌年デ・ウィットの推挙でアムステルダム海軍管区の副提督となり、オランダ商船隊の護衛に従事して地中海の海賊や私掠(しりゃく)船を掃討し、またバルト海域やカリブ海域で活躍した。65年アムステルダム海軍管区提督、オランダ海軍最高司令官に任命され、新「七州号」を旗艦とした。第二次オランダ・イギリス戦争(1665~67)では、デ・ウィットと協力してイギリス海軍を悩ませ、ことにチャタムの奇襲攻撃でイギリス人に恐怖を与えた。第三次オランダ・イギリス戦争(1672~74)にもオランダ海軍を率いて英仏連合艦隊を迎え撃ち、偉功をたてた。75年、同盟国スペインの海軍を援助するため地中海に出動し、翌年シチリア島のシラクーザ沖でフランス海軍と戦い、重傷を負って没した。
[栗原福也]