オランダ南西部、ゼーラント州にある港湾都市。英語名フラッシングFlushing。人口4万4776(2001)。スケルデ川河口のデルタ地帯にあるワルヘレンWalcheren島南端に位置し、ウェスタ・スケルデ川に臨んで石油精製、化学、鉄鋼などの工業が発達、東部にはオランダ最初の原子力発電所も立地する。ニシン漁港およびスケルデ川上流のアントウェルペンへの門戸として古くから発展し、1247年に都市権を獲得、1572年にはスペインへ反旗を翻してオランダ独立への道を開いた。造船所の建設された1875年以降は工業港、商港、またイギリスへの連絡港ともなり、第二次世界大戦中の1944年には連合軍が上陸して、ドイツ軍から町を奪回した。市内には1308年建立の聖ヤコブ教会、1733年の市庁舎などがあり、市立博物館にはこの町の出身者デ・ロイテル提督にちなむ収蔵品が多い。オランダ海軍基地、海水浴場としても知られる。
[長谷川孝治]
オランダ,ゼーラント州の都市。人口4万5726(1980)。スヘルデ川の河口,ワルヘレン島の南岸にある港湾・工業都市。造船業の歴史は古く,現在でも市の最大の工業となっている。また漁港としての機能も重要であり,高等商船学校がある。都市として成立したのは1315年で,オランダ独立戦争中は海軍の基地となり,17世紀には海運,貿易が盛んとなった。18世紀に入るとオランダの奴隷貿易の基地ともなった。
執筆者:佐藤 弘幸
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