改訂新版 世界大百科事典 「デンプン糖」の意味・わかりやすい解説
デンプン(澱粉)糖 (でんぷんとう)
starch sugar
デンプンを酸あるいは酵素を用いて加水分解して得られる糖類の総称。このなかにはブドウ糖,麦芽糖,水あめ,粉あめ,異性化糖などが含まれる。デンプン糖は,日本においては重要な甘味料であり,加工食品,清涼飲料などに広く使われている。デンプン糖の原料としては,コーンスターチ,バレイショ(馬鈴薯)デンプン,カンショ(甘藷)デンプンがおもに使われる。加水分解には以前は,シュウ酸,塩酸,硫酸などが用いられていたが,1960年代以降は,反応の制御がより容易な酵素(例えばα-アミラーゼ,β-アミラーゼ,グルコアミラーゼ,グルコースイソメラーゼなど)が多く用いられるようになってきた。デンプン糖は,デンプンの加水分解度の一つの表示法であるDE(dextrose equivalent)という単位で表示される。結晶ブドウ糖はDE99~100であり,水あめは通常35~50程度である。デンプン糖の甘味,粘度,吸湿性,結晶性などは,DEによって一定の方向に移行するので,使用目的に応じて選択されている。
執筆者:貝沼 圭二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報