日本大百科全書(ニッポニカ) 「トゥイバ」の意味・わかりやすい解説
トゥイバ
とぅいば
Тыва/Tïva
ロシア連邦に属する共和国。ロシア中部、シベリア南部に位置し、南はモンゴルとの国境をなす。面積17万0500平方キロメートル、人口30万6600(2003推計)。首都はキジル。人口10万4500(2003推計)。国土の周囲は高い山脈(最高点は標高3970メートル)で、中央部はエニセイ川上流地域の盆地。平均気温は1月零下35℃~零下28℃、7月15℃~20℃。年降水量は200~1000ミリメートル。
[上野俊彦]
沿革
トゥイバは9世紀中葉、チュルク(トルコ系民族)語系のウイグル・ハガン(可汗)国の領土となり、13~18世紀にはモンゴル支配下に、18世紀には清(しん)朝支配下に置かれた。1912年清朝の支配を脱し、14年ロシアの保護領となったが、21年タンヌ・トゥバ人民共和国として独立した(26年にトゥバ人民共和国に名称変更)。44年10月11日ソ連邦に編入され、10月13日ロシア連邦社会主義共和国に属するトゥバ自治州となり、61年トゥバ自治ソビエト社会主義共和国Тувинская АССР/Tuvinskaya ASSRに昇格した。ソビエト連邦の崩壊に伴い91年10月トゥバ共和国となり、94年12月トゥイバ共和国Республика Тыва/Respublika Tïvaと名称を変更した。
[上野俊彦]
住民・産業
1989年国勢調査による民族構成は、トゥバ人(19万8448、64.3%)、ロシア人(9万8831、32.0%)が主である。トゥバ人はチュルク語系民族で、宗教は仏教(チベット仏教)である。
おもな産業は、鉱業(アスベスト、コバルト、石炭、水銀)、林業、木材加工、軽工業、食品加工、金属加工、建築資材生産。農業では、畜産(細毛羊、乳・肉用牛)、穀物および飼料用作物の栽培。山地では毛皮獣狩猟が行われている。
[上野俊彦]