翻訳|asbestos
極細繊維からなる天然鉱物で石綿とも呼ばれる。安価で断熱性や耐火性に優れ、高度経済成長期に建築材料として広く使われた。だが粉じんを吸い込むと、じん肺や肺がん、中皮腫の原因になることが分かり規制が進み、2006年に含有製品の製造や使用などが全面禁止された。潜伏期間は数十年で「静かな時限爆弾」と呼ばれる。除去工事の際の飛散しやすさから三つのレベルに分けられ、最も飛散しやすい吹き付け材を使用した建物の解体は28年度ごろにピークを迎える。
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不燃材として古くから利用されていた天然の無機繊維状鉱物の総称で,石綿(いしわた)/(せきめん)とも呼ぶ。蛇紋石族または角セン石族の鉱物のうち,繊維状にほぐすことのできるものをいい,蛇紋石族の一種であるクリソタイルchrysotileは温石綿(おんじやくめん)とも呼ばれる。クリソタイルの化学組成はMg6Si4O10(OH)8。その繊維はきわめて細い(径200~300Å)中空のパイプ状構造をもっており,柔軟で,綿糸と同様に織物を作ることができる。世界のアスベストの大部分はクリソタイルであり,蛇紋岩中に網状脈をなして産し,繊維は脈壁にほぼ垂直に並んでいる。主産地は,カナダ(ケベック),ロシア(ウラル),南アフリカ共和国,ジンバブウェ共和国。日本でも北海道で採掘されたことがある。角セン石族のアスベストには,直セン石,透セン石,アクチノセン石,リーベックセン石(青石綿)などに属するものがある。クリソタイルに比べて繊維はもろく,熱にもやや弱いが,耐酸性が優れている。南アフリカ共和国の青石綿がとくに著名である。
執筆者:白水 晴雄 アスベストは繊維でありながら不燃性で,古くローマ時代には珍重され織布が作られていた。平賀源内が作った火浣布(かかんふ)もこのアスベスト布である。現在では,繊維の形では防火幕,防火服などとして,ゴムあるいはレジンを結合剤とするものではブレーキライニングなどとして,セメントとの複合材では壁材,防火板,吸音板などとして,重要な工業製品となっている。アスベストの粉塵は珪肺の原因となるので,生産工程および使用に際しては,粉塵を出さないようにとくに注意が必要である。
執筆者:柳田 博明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
asbestos
容易に繊維状にでき,ほぐすと「綿のようになる石」で石綿(いしわた)⁞(せきめん)ともいう。糸や布に織ることができ,耐熱・耐磨耗性・耐薬品性・電気絶縁性等の性質をもつ鉱物の総称。鉱物種では,蛇紋石の一種クリソタイルからなるアスベストと,グリュネル閃石(アモサイト)・リーベック閃石(クロシドライト)・繊維状直閃石・繊維状透閃石などの角閃石のアスベストの2種に分けられる。顕微鏡下で,アスペクト比が3:1以上の粒子として確認される。クリソタイルアスベストが圧倒的に多く消費されてきた。工業的に多用途に利用され「奇跡の鉱物」とされていたが,発癌性が広く指摘され,「静かな時限爆弾」と恐れられ,汚染が問題となった。1975年の規制でアスベスト5%を超える吹き付け材を禁止,95年に1%,2006年にはアスベスト含有量が0.1%を超えるものは製造,輸入,使用が一部例外を除き法的に禁止となった。
執筆者:赤井 純治
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[同義異語]石綿
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
→石綿
…石綿肺ともいう。石綿(アスベスト)は繊維状のケイ酸塩鉱物の総称で,ひろく工業原料として利用されているが,近年,造船,建設,自動車ブレーキライニングなど石綿使用分野が急速に増加し,職業的にあるいは非職業的に,石綿曝露(ばくろ)の機会が増加してきている。石綿症は,呼吸細気管支炎と肺胞炎に始まり瀰漫(びまん)性の肺繊維症をきたし,また壁側胸膜の肥厚(胸膜プラークと呼ばれる)と石灰化を伴う病気である。…
※「アスベスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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