改訂新版 世界大百科事典 「トカゲモドキ」の意味・わかりやすい解説
トカゲモドキ
banded gecko
ヤモリ類ではあるがトカゲのような形質ももつヤモリ科トカゲモドキ属Eublepharisの総称。全長16cm前後。ふつうのヤモリと違って眼は透明なうろこで覆われず,上下のまぶたが可動で眼を閉じることができる。各指趾(しし)は細長く指(趾)下板は吸盤状とならない。日本にはクロイワトカゲモドキE.kuroiwae1種が徳之島,沖縄諸島に分布し,5亜種に分けられている。平地から山地の森林や集落周辺にすみ,夜行性で,昼間は洞穴や石垣などに隠れている。性質はきわめておとなしく,行動ものろい。瞳孔が縦長で虹彩は赤褐色。体背面にはピンク色の帯模様があり,尾部では白帯となるが,再生した尾はまだら模様となり,太短くなる。現地では本種を恐れる人もいるが,まったくの無害。同属にはほかに3種あり,海南島,インド中央部,メソポタミアに分布している。
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報