徳之島(読み)トクノシマ

デジタル大辞泉 「徳之島」の意味・読み・例文・類語

とく‐の‐しま【徳之島】

鹿児島県奄美あまみ群島の一島。サトウキビ大島つむぎを産する。アマミノクロウサギが生息。面積248平方キロメートル。

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精選版 日本国語大辞典 「徳之島」の意味・読み・例文・類語

とく‐の‐しま【徳之島】

  1. 鹿児島県、奄美(あまみ)諸島の一島。サトウキビや大島紬(つむぎ)を産する。アマミノクロウサギが生息。

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日本歴史地名大系 「徳之島」の解説

徳之島
とくのしま

奄美諸島の南部北側、大島の南西に位置する島。東部に徳之島町、西部北側に天城あまぎ町、西部南側に伊仙いせん町がある。「海東諸国紀」の琉球国之図に「度九島 去大島三十里 属琉球」と記され、「中山世譜」首巻に琉球三十六島のうちとして度姑(徳島と俗称)とある。奄美歌謡の新ナガレ歌では「とぅく いらぶ よろんや なはぬ じうち」(徳之島、永良部島、与論島は那覇の地の内)と謡われている。「列朝制度」によれば、島の周り一七里三町で、鹿児島から一七九里、大島からは一八里という。「三州御治世要覧」では道之島五島のうちとしている。

〔位置と自然的条件〕

奄美諸島中、大島に次ぐ面積をもつ。その南端は北緯二七度四〇分、北端が二七度五五分付近に当たる。島軸は北―南に延び、約二五キロ、最大幅をもつところで約一二・五キロ、周囲は約八二キロ、面積二四七・九平方キロ。最高点は井之川いのかわ岳の六四五メートルで、島の南部の中央東寄りにある。海岸線は屈曲や湾入が少なく単調で、大部分は珊瑚礁で縁どられ、堡礁や裾礁が随所に形成されている。礁原の幅が広い。西部から南東部にかけては井之川岳や天城岳などの高所を取囲むように、比較的なだらかな海岸段丘で覆われている。基盤をなす地質は中生代の四万十累層群の緑色岩類や頁岩・砂岩の互層となっているが、ところどころに古期花崗岩の貫入岩体が見られる。基盤岩地域が呈する起伏を埋めるように新生代第四紀に堆積した礫層や石灰岩層が広く分布している。西部および南部では海面からの比高二〇―一〇〇メートルの海食崖が形成され、壮絶な景観をみせているが、これをつくっているのが琉球石灰岩である。

年平均気温は摂氏二〇度を超えるが、降水量は意外に少なく、平年値一九二一ミリは日本全体の平年値にほぼ等しい。高い気温と適度な降水量に恵まれ、生物相も多彩である。アマミノクロウサギやケナガネズミはそれぞれ国の特別天然記念物、国指定天然記念物として保護されている。植生についても、ソテツ、アダン、ガジマル、アコウなど奄美諸島で一般的に見られるもののほか、ムシロ瀬とよばれる巨岩・奇岩のある景勝地の海浜植生なども亜熱帯の海岸景観に彩りを添えている。島の周囲の多くが奄美群島国定公園域となっている。

〔琉球時代前後〕

「続日本紀」文武天皇三年(六九九)七月一九日条にみえる「多・夜久・菴美・度感」のうち度感は徳之島とされる。これらの島の人々が律令政府の役人に伴われて渡海し、方物を献上したというもので、位を授けられ、物を与えられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「徳之島」の意味・わかりやすい解説

徳之島
とくのしま

鹿児島県奄美諸島(あまみしょとう)にある島。北緯27度40~55分付近、鹿児島市から約480キロメートルの洋上に位置する。奄美諸島中大島に次ぐ面積の島で、周囲約82キロメートル、面積247.76平方キロメートル。島の最高点は井之川岳(いのかわだけ)の645メートル。鹿児島県大島郡徳之島町、伊仙町(いせんちょう)、天城町(あまぎちょう)の3町からなる。島の基盤地質は古生層で、ほぼ南北走向の山地沿いに古期花崗岩(かこうがん)類、輝緑岩類などの貫入岩体がみられる。島の西部、南部、南東部は広く琉球(りゅうきゅう)層群、いわゆる琉球石灰岩などに覆われ、比較的なだらかな海岸段丘が形成されている。南西部の集落は、この段丘面上に立地するが、乏水地帯であるため散村形態をとる。基幹産業はサトウキビ栽培や大島紬(つむぎ)織の家内工業などが中心であるが、近年肉牛飼育や野菜生産なども活発に行われる。年平均気温は20℃を超え、ガジュマル、アコウ、アダンなどが繁茂する。アマミノクロウサギ(特別天然記念物)の生息地。奄美群島国立公園に属する。平土野(へとの)港、亀徳(かめとく)港には鹿児島市より定期船が毎日寄港する。天城町には空港があり、鹿児島、奄美大島との間に便がある。人口2万3497(2015)。

[塚田公彦 2019年5月21日]

世界遺産の登録

2021年(令和3)、徳之島はユネスコ国連教育科学文化機関)により「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島(いりおもてじま)」として世界遺産自然遺産に登録された(世界自然遺産)。

[編集部 2022年1月21日]


徳之島(町)
とくのしま

鹿児島県大島郡にあり、徳之島の東半分を占める町。1958年(昭和33)亀津(かめつ)町と東天城(ひがしあまぎ)村が合併して徳之島町となる。町の西部は井之川(いのかわ)岳(645メートル)などの山地、海岸は隆起サンゴ礁が発達。亀徳港(かめとくこう)は徳之島の表玄関で、南東部の亀津は町役場のほか、国や県の出先機関が多く、徳之島の行政、経済、交通の中心地である。近世、薩摩(さつま)藩領となり亀津に代官所が置かれ、藩はサトウキビの栽培を強制、現在もサトウキビが基幹作物で農畜産業生産額の3分の1を占める。伝統のある大島紬(つむぎ)の生産も盛んである。闘牛は観光や島民の娯楽の中心となっている。国指定特別天然記念物アマミノクロウサギの生息地である。面積104.92平方キロメートル、人口1万0147(2020)。

[平岡昭利]

『『徳之島町誌』(1970・徳之島町)』


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百科事典マイペディア 「徳之島」の意味・わかりやすい解説

徳之島【とくのしま】

奄美諸島(2010年3月より奄美群島)の中部,奄美大島の南西に位置する。面積247.85km2。鹿児島県徳之島町・天城(あまぎ)町・伊仙(いせん)町に分かれる。中心は徳之島町の亀津(かめつ)。海岸線は単調で,大部分はサンゴ礁で縁どられる。最高点は井之川(いのかわ)岳の645mで,島の中央東寄りにある。 《続日本紀》文武天皇3年(699年)7月19日条にみえる〈度感〉は,徳之島のこととされる。島南部の伊仙町にカムィヤキ古窯跡群があり,産出された南島須恵器は11〜14世紀にわたって琉球に広く供給された。琉球王国の領知下に入った時期は未詳だが,1562年に首里(しゅり)から役人が来島したと伝える。1609年島津氏琉球侵攻により,鹿児島藩直轄領となる。島内は3つの間切(まぎり)に分かれていた。1879年大島郡に所属。近世以来のサトウキビ栽培が基幹産業。名産品として黒糖焼酎がある。高い気温と適度な降水量に恵まれて生物相も多彩で,アマミノクロウサギ,ケナガネズミ(国指定特別記念物)が生息。ケナガネズミは絶滅危惧IB類(環境省第4次レッドリスト)。徳之島町亀徳(かめとく)港に鹿児島などからの定期船が通じ,天城町に徳之島空港がある。
→関連項目沖永良部島薩南諸島鳥島(沖縄)南西諸島

徳之島[町]【とくのしま】

鹿児島県大島郡,徳之島の東部を占める町。主集落は東岸の亀津で,全島の行政・交通の中心地でもある。サトウキビの栽培が盛んで,野菜,果樹,花卉(かき)も産し,製糖・紬(つむぎ)織り工場もある。黒糖焼酎(しょうちゅう)を特産。104.92km2。1万2090人(2010)。

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改訂新版 世界大百科事典 「徳之島」の意味・わかりやすい解説

徳之島 (とくのしま)

鹿児島県奄美(あまみ)諸島の一島。面積は248km2で,奄美大島に次ぐ。大島郡徳之島町,天城町,伊仙町の3町に分かれ,人口2万5587(2010)。島は南北に長く,中央部から北部へかけては最高点の井之川岳(645m)を含む古生層の山地が広がり,南部は石灰岩質の平たん地でカルスト地形や鍾乳洞もみられる。集落は隆起サンゴ礁の発達する海岸部に発達,中心は徳之島町の亀津。亜熱帯性の温暖な気候のため,ソテツ,アダンの樹林が茂り,ブーゲンビリアやハイビスカスが咲く。またアマミノクロウサギ(特天)やハブも生息している。

 島では近世に薩摩藩の直轄で黒糖や上納品とされた大島紬の生産が行われたが,過酷な藩政に抗する一揆も1816年(文化13)に母間(ぼま),64年(元治1)に犬田布(いぬたぶ)で起こっている。現在は徳之島町母間を中心に大島紬を特産し,島内各地でサトウキビが栽培される。黒糖を原料とする焼酎は名産。ソテツが群生する北部の金見崎,手々(てて)自然公園,西海岸の海食崖の犬の門蓋(いんのじようぶた),犬田布岬,モクマオウの林と白砂の砂丘がつづく南部の喜念浜など奄美群島国定公園に含まれる景勝地が多く,また名物行事の闘牛が島内各地で行われ,近年観光客が急増している。徳之島町亀徳港に鹿児島港から定期船が通じ,天城町に徳之島空港がある。
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徳之島[町] (とくのしま)

鹿児島県大島郡,徳之島東部の町。人口1万2090(2010)。井之川岳(645m)など古生層の山地が南北に連なり,沿岸部には標高100~200mの隆起サンゴ礁の海岸段丘が発達する。下層の段丘上または段丘崖下に沿って集落がある。薩摩藩時代に代官所が置かれた中心集落の亀津,その北に鹿児島からの船が発着する亀徳,さらに北方にかつてかやぶき屋根の民家が軒を並べて特異な景観をみせていた母間(ぼま)などの集落があり,島を一周する道路で結ばれている。亜熱帯性気候を生かした農業を営み,サトウキビが農産物生産額の50%(1982)を占める。母間を中心に大島紬を特産する。隆起サンゴ礁の浸食によって形成された奇岩の続く神之嶺崎,奄美大島を望む金見崎などは奄美群島国定公園に属する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「徳之島」の意味・わかりやすい解説

徳之島
とくのしま

鹿児島県南部,奄美群島に属する島。行政上は徳之島町天城町伊仙町の 3町で構成される。島の大部分は花崗岩や古生層からなる山地で,南部に隆起サンゴ礁でできた台地がある。最高点は井之川岳(645m)。主産業は農業で,サトウキビ,米,サツマイモ,パイナップルを産するが,耕地面積は少ない。東岸の亀徳港は大型船の接岸が可能で,沖縄航路の船も寄港する。西部には徳之島空港があり,鹿児島空港との間に定期航空路がある。海岸部の多くが奄美群島国立公園に属する。国の特別天然記念物のアマミノクロウサギをはじめ希少動植物に恵まれ,2021年に北部の天城岳(543m)一帯と中部の井之川岳一帯が,奄美大島沖縄島北部,西表島とともに世界遺産の自然遺産に登録された。面積 247.91km2。人口 2万8108(2000)。

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世界大百科事典(旧版)内の徳之島の言及

【雲】より

…アフリカのサンにとって黒い雲は雨をもたらすから吉兆と考えられている。 鹿児島県大島郡徳之島においては,人々は正月元旦早朝に起きて,未明の空が明るくなると空をぐるりと見渡して雲のあるところを探し,雲が多く黒雲の出ている方位をその年の恵方とした。この恵方が定まると一家の主人はその方位にある泉に若水をくみにおもむく。…

※「徳之島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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