日本大百科全書(ニッポニカ) 「トドハダカ」の意味・わかりやすい解説
トドハダカ
とどはだか / 海馬裸
California headlightfish
[学] Diaphus theta
硬骨魚綱ハダカイワシ目ハダカイワシ科に属する海水魚。北海道のオホーツク海と、北海道の太平洋から鹿島灘(かしまなだ)、千島(ちしま)列島北部、ベーリング海南部からカリフォルニアの、太平洋の温帯から亜寒帯域に分布する。体高はやや低く、体長の約21~24%。吻(ふん)は丸く、著しく短い。目はやや小さく、頭の前端近くに位置し、眼径は体長の約8~10%。主鰓蓋骨(しゅさいがいこつ)の背部の後縁は丸い。背びれと臀(しり)びれは12~14軟条、胸びれは10~12軟条、腹びれは8軟条。側線鱗(りん)数は36~37枚。鰓耙(さいは)は上枝に6~7本、下枝に14~16本。脊椎骨(せきついこつ)は34~36個。
また、発光器は種の重要な特徴である。眼前上部発光器Ant(図中③、以下同)はない。目の前上方に小さい鼻部背側発光器Dn(①)と、その下方に卵形の鼻部腹側発光器Vn(②)があり、両発光器はつながらない。鼻部腹側発光器は目の中央下に達せず、また雄のものは雌のものより大きい。眼下発光器So(⑤)は小さく、眼窩(がんか)の中央下か、それよりわずかに後方にある。尾びれ前発光器Prc(⑱)は4個で、最上のものは側線のかなり下に位置する。肛門(こうもん)上発光器SAO(⑫)は3個で、ほぼ斜め直線状に並び、最上のものは体側後部発光器Pol(⑭)とともに、側線のかなり下にある。胸びれ下発光器PVO(⑧)は2個で、上のものは胸びれ基底(付け根の部分)上端よりも下にある。胸部発光器PO(⑩)は5個で、4番目のものは高位にある。前部臀びれ発光器AOa(⑬)と後部臀びれ発光器AOp(⑮)はそれぞれ5~6個。最前の前部臀びれ発光器の位置はほかより高くはない。尾柄(びへい)には発光腺(せん)がない。
最大体長は9センチメートルほどになる。昼間は水深400~800メートルにすみ、夜間に水深10~60メートルまで日周鉛直移動をする。
[尼岡邦夫 2024年11月18日]