日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリフィド時代」の意味・わかりやすい解説
トリフィド時代
とりふぃどじだい
The Day of the Triffids
イギリスの作家ジョン・ウィンダムのSF。1949年刊。地球の軌道上を緑色の大流星群が通過した翌朝、流星を目撃した世界中の人間が視力を失ってしまった。このとき、植物油採取のため厳重な管理のもとに栽培されていたトリフィドという2メートルを超す食肉性植物が野放しとなり、盲目となった人類を襲い始めた。失明を免れたごく少数の人間が、大恐慌と混乱のさなか必死にトリフィド対策を図るが、多勢に無勢、人類絶滅の危機が迫る。イギリス作家が好んで取り上げる破滅テーマのSFで、本編はその代表的作品。単なるパニック小説ではなく、人類は永遠に繁栄を約束された生物ではないというペシミズムに裏打ちされている。
[厚木 淳]
『井上勇訳『トリフィド時代』(創元推理文庫)』