日本大百科全書(ニッポニカ) 「トレミーの定理」の意味・わかりやすい解説
トレミーの定理
とれみーのていり
四角形が円に内接するならば、二つの対角線を二辺とする長方形の面積は、もとの四角形の二組の対辺を二辺とする二つの長方形の面積の和に等しい。これをトレミーの定理といい、この定理の逆も成り立つ。長方形は円に内接するから、長方形にトレミーの定理を適用すれば三平方の定理(ピタゴラスの定理)が現れてくる。トレミー(プトレマイオス)は150年ころアテネやアレクサンドリアで活躍した学者で古代天文学の中心人物であった。天文計算には三角比の計算が必要であるが、トレミーの仕事は『アルマゲスト』Almagestにまとめられている。トレミーの定理から、二つの弦の長さの和や差を計算する公式が導かれる。たとえば、点Aを頂点とする二等辺三角形の外接円を考え、底辺BCを弦とする弧のうち頂点Aの反対側の弧の上に任意の点Pをとると、弦PBと弦PCの長さの和は弦PAの長さに比例する。点Pが点Aのある弧の上にあれば、弦PBと弦PCの差が弦PAに比例する。
[柴田敏男]