日本大百科全書(ニッポニカ) 「トールベッケ」の意味・わかりやすい解説
トールベッケ
とーるべっけ
Johan Rudolf Thorbecke
(1798―1872)
オランダの政治家。ズウォレに生まれる。オランダを立憲王制に変えた1848年憲法の起草者の一人で、自由党の党首。3次にわたって内閣を組閣(1849~1853、1862~1866、1871~1872)、首相として選挙制度の改革、自由主義貿易の推進、新運河と水路の開発に貢献した。とくに学校教育の充実を図り、保守自由主義派とカトリックに対立し、「中立」の学校を設けた。デルフトに工芸学校を建て、また、中産階級のために新しい形の中学校を設立した。さらに、オランダ領東インドの植民地における奴隷制度を廃止した。こうした積極政策は国王ウィレム3世Willem Ⅲ(在位1849~1890)に敵視され、彼の死後、自由党は進歩派と保守派との内部対立に苦しむことになる。
[磯見辰典]