大学事典 「ドイツ学生互助会」の解説
ドイツ学生互助会[独]
ドイツがくせいごじょかい
学生の大学生活をサポートする学生互助会(ドイツ)の連合組織。学生互助会はドイツ全国に58機関設けられており,300大学以上の約220万人の学生の社会,経済,文化,健康における利益の推進を目的に学食の運営,住居の管理・運営,心理相談および法律相談,奨学金等やローン等の学生支援ほか,社会・経済的なサポートの供与,文化関連のサービスの提供などを任務としている。ほとんどが公法上の機関として,州の大学法または独立した学生互助会法に基づいて活動している。学食や家賃などによる自己収入を主要な財源としているが,州の補助金や学生の分担金などによる収入もある。
学生互助会の起源は,1919年に学生,教員,経済界,政界の代表がドレスデンやミュンヘンなどさまざまな都市に学生の自助機関(ドイツ)を設置したことに遡る。これらの自助機関では,学食の運営や住居の斡旋所の開設,手仕事の斡旋などを通じて学生生活を改善することが目指された。1921年にこれらの自助機関の連盟となる「全ドイツ学生経済支援」が創設されると,その任務領域は急速に拡大し,ローン事業,奨学金事業,国際交流事業にまで及んだ。ナチズム期には独立した組織としての学生互助会は解散され,帝国学生互助会(ドイツ)へと転換されるが,第2次世界大戦後には再開された大学で学生の経済状況を改善するため,いくつかの拠点に学生互助会が新たに設置された。1950年にその連盟であるドイツ学生互助会が創設されて以降,州からは補助金を,連邦からは主要な奨学金事業の実施権限を与えられ,ドイツの高等教育システムには欠かせない組織に成長した。
著者: 髙谷亜由子
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報