改訂新版 世界大百科事典 「ドゥクモンキー」の意味・わかりやすい解説
ドゥクモンキー
douc monkey
Pygathrix nemaeus
ラオス,ベトナムおよびその周辺の島に生息する霊長目オナガザル科の旧世界ザル。1属1種。コロブス亜科とオナガザル亜科をつなぐ古い型のサルであると考えられている。体色は黒っぽい灰色で,ほおと首に白い毛をもつ。顔は黒色,または黄色。他のコロブス亜科のサルに比べて鼻口部がやや突出している。頭胴長は雄が55~82cm,雌が60~63cm。尾長は雄が60~77cm,雌が60~67cm。
木の葉を好んで食べる。牛などの草食獣に似たいくつかにくびれた胃をもち,その一部に植物繊維のセルロースを消化する酵素をもつ。1頭以上の雄と,複数の雌や子どもからなる群れをつくるといわれているが,社会構造や生態に関してはまだわかっていない。
執筆者:古市 剛史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報