日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ドホナーニ(Ernő (Ernst von) Dohnányi)
どほなーに
Ernő (Ernst von) Dohnányi
(1877―1960)
ハンガリーのピアノ奏者、作曲家、指揮者。リスト以後のハンガリーを代表するピアニストで、20世紀の同国音楽文化の中心的存在。ブダペストの王立音楽アカデミーに学び、1897年ベルリンで、翌年ロンドンでピアニストとしてデビュー、名声を確立した。ベートーベンのピアノ作品全曲演奏(1920)、モーツァルトのピアノ協奏曲全27曲演奏(1941)の快挙を行う。1919年から母校の校長を務め、教育の革新を画し、またナチズムに抵抗した。指揮者としては、バルトークを世に紹介し、ショルティらを育てた。作曲家としての作風はロマン派の色彩が濃く、代表作にオペラ『テノール』(1929初演)、オーケストラのための『組曲 嬰(えい)ヘ短調』(1908~09)などがある。晩年はアメリカに定住してニューヨークに没した。
[船山信子]