ショルティ(英語表記)Solti, Sir Georg

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ショルティ」の意味・わかりやすい解説

ショルティ
Solti, Sir Georg

[生]1912.10.21. ハンガリーブダペスト
[没]1997.9.5. フランス,アンティーブ
ハンガリー生まれのイギリスの指揮者,ピアニスト本名 György Stern Solti。20世紀後半,世界で最も高く評価された指揮者の一人。特にロマン派の管弦楽曲オペラ演奏定評があった。ブダペストのリスト音楽院でバルトーク・ベーラやコダーイ・ゾルタンに師事。18歳のときブダペスト歌劇場の指導スタッフとなり,1938年に同歌劇場で指揮者としてデビュー。ユダヤ系であったため,第2次世界大戦が勃発すると身の安全を求めてスイスチューリヒに逃れた。外国人であるため指揮者の職を得ることはできなかったが,1942年にジュネーブ国際コンクールのピアノ部門で優勝。戦後,1946~52年のバイエルン国立歌劇場を振り出しに,1952~60年フランクフルト市立歌劇場,1961~71年コベントガーデン歌劇場の音楽監督を歴任。1971年ナイトに叙され,1972年にイギリスの市民権を取得した。1969年から1991年までシカゴ交響楽団の音楽監督を務め,同楽団の世界的名声を復活させた。1972~75年パリ管弦楽団の首席指揮者にも就任,1971~73年にパリ国立歌劇場の音楽顧問,1979~83年にロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者兼芸術監督を務めた。指揮者としては躍動的かつ深い解釈に基づく演奏を特徴とし,ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト,ルートウィヒ・ファン・ベートーベン,フランツ・シューベルト,リヒアルト・ワーグナー,リヒアルト・ゲオルク・シュトラウス,グスタフ・マーラーなどのオペラや交響曲をはじめ,スケールの大きな作品で数々の名演奏を残した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ショルティ」の意味・わかりやすい解説

ショルティ
しょるてぃ
Sir Georg Solti
(1912―1997)

ハンガリー出身のイギリスの指揮者。生地ブダペストのリスト音楽院で作曲・指揮・ピアノを、バルトーク、コダーイ、ドホナーニに学ぶ。1930~39年ブダペスト歌劇場指揮者。ナチスがハンガリーも制覇したため、ユダヤ人のショルティは1939年スイスに移住、42年ジュネーブ国際音楽コンクールのピアノ部門で1位となり、しばらくピアニストとして活動した。第二次世界大戦後は1946~52年バイエルン国立歌劇場音楽総監督、52~61年フランクフルト市立歌劇場音楽総監督、61~71年ロンドンのコベント・ガーデン王立歌劇場音楽監督を歴任。この歌劇場の水準を著しく高めた功績で1971年サーの称号を受け、翌72年イギリス国籍取得。また1969~91年までシカゴ交響楽団の音楽監督を務め、この楽団を全米第一の人気オーケストラに育て上げた。1963年(昭和38)ロンドン交響楽団に同道して初来日。1977年にはシカゴ響とも来日、94年にはウィーン・フィル日本公演でも来日した。完全というほかない精密な集団演奏のなかに剛毅(ごうき)な気風を吹き込み、精緻(せいち)と雄大の両面を実現、真価を発揮した。1979~83年ロンドン・フィルハーモニー音楽監督も兼任。1992年ザルツブルク復活祭音楽祭の芸術監督を務めた。オペラとコンサートで幅広く活動した20世紀後半の名指揮者の一人。

[岩井宏之]

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改訂新版 世界大百科事典 「ショルティ」の意味・わかりやすい解説

ショルティ
Georg Solti
生没年:1912-97

ハンガリーの指揮者,ピアニスト。ブダペスト音楽院でバルトークやコダイの教えを受け,1937年のザルツブルク音楽祭ではトスカニーニの助手を務めた。第2次世界大戦中はナチスの圧制を逃れてスイスに亡命し,42年ジュネーブ国際コンクールのピアノ部門で優勝。戦後はイギリスに帰化して指揮活動に専念し,コベント・ガーデン王立歌劇場の音楽監督,シカゴ交響楽団,パリ管弦楽団,ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者を歴任。ベートーベンからR.ワーグナー,マーラーにいたるドイツの古典派,ロマン派の作品に,とくに迫力のこもった名演奏を残している。
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