日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドライヤー報告」の意味・わかりやすい解説
ドライヤー報告
どらいやーほうこく
国際労働機関(ILO)の実情調査調停委員会の調査団(ドライヤー委員長ら3名)が、日本の官公労働組合の申立て事件について、1965年11月ILO理事会に提出した報告書。この報告書は、ILOが日本の官公労働者問題について初めて示した総括的文書であり、全体で六部2253項目からなる。1958年(昭和33)に日本労働組合総評議会(総評)と国鉄機関車労働組合(機労。後の国鉄動力車労働組合=動労)がILOの結社の自由委員会に提訴して以来、ILOは日本の官公労働者の問題に取り組み、再々日本政府にILO条約の抵触是正および同87号条約の批准を求めた。しかし日本政府がその意向に反したため、1964年ILO理事会は、日本問題実情調査調停委員会(ドライヤー委員会)を設置し、調査を開始した。同委員会は約1年の実情調査ののち報告書を公表した。この報告書は、日本における官公労働者の労働基本権問題あるいはその回復運動に大きな影響を与えた。
[村下 博]