ナガコバン(読み)ながこばん(その他表記)sharksucker

翻訳|sharksucker

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナガコバン」の意味・わかりやすい解説

ナガコバン
ながこばん / 長小判
sharksucker
remora
[学] Remora remora

硬骨魚綱スズキ目コバンザメ科に属する海水魚。北海道以南の太平洋、新潟県以南の日本海、東シナ海、南西諸島、千島(ちしま)列島南部、朝鮮半島、台湾、ピョートル大帝湾から沿海州など全世界の暖海域に分布する。体はコバンザメ類のなかでは比較的太短く、前方の横断面は円形で、後部でやや側扁(そくへん)する。口は体の前端に開き、下顎(かがく)は上顎よりも突出する。上顎の後端は目の前縁下に達する。上下両顎に小さくて鋭い、内側に曲がった絨毛(じゅうもう)状歯帯があり、下顎では歯帯の幅が広い。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)、口蓋骨、舌上にも同様の歯がある。鰓耙(さいは)数は多くて27~37本。体は微小な円鱗(えんりん)で覆われる。頭部背面にある吸盤の後端は胸びれの先端に達しない。吸盤を横断する板状体は16~20対(つい)。背びれは20~27軟条、臀(しり)びれは20~25軟条で、両ひれはほぼ上下相称。腹びれは胸びれよりも大きく、内側の軟条は体の腹部に付着する。成魚では尾びれの後縁がわずかにくぼむが、幼魚では二叉(にさ)する。体は一様に灰白色~暗灰色。沖合いで大形のサメ類、イトマキエイ類、カジキ類などに吸盤で吸着して生活する。最大全長80センチメートルに達する。食用としては利用されない。

 本種は体が太短くて、体側に縦帯がないことなどでシロコバンR. albescens、オオコバンR. australis、ヒシコバンR. osteochirおよびクロコバンR. brachypteraに似るが、シロコバンは腹びれが胸びれより明らかに小さく、吸盤の板数は14枚以下であることなどで、オオコバンは吸盤板数が24以上あることなどで、そしてヒシコバンとクロコバンは全鰓耙数が少なくて、21本以下であることなどで本種と区別できる。

[尼岡邦夫 2024年8月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のナガコバンの言及

【コバンザメ(小判鮫)】より

…多くのものが宿主の体表にいる寄生虫をよく食べる。吸着時期は早く,ナガコバンRemora remoraでは全長3~4cmですでに宿主に吸着している。すべて温・熱帯に分布している。…

※「ナガコバン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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