ロシア連邦の南東端,日本海に面する地方。沿海地方,プリモルスキー地方ともいう。面積16万5900km2,人口202万(2006)。州都ウラジオストク。1860年の清国との北京条約によって,ロシア帝国の領土となった。当初の行政区分は,ハバロフスクからアムール下流域,のちのサハリン州とカムチャツカ州の全域を含んでいたが,1909年にこの両州が分けられ,14年にアムール下流域がサハリン州に移管された。38年に決定された今日の沿海地方は革命期の沿海州の南半分に当たり,ハバロフスクやその周辺地域は含まれない。西側は中国と国境を接し,南端は豆満江をへだてて朝鮮民主主義人民共和国と接している。地形は南端地方を除いてシホテ・アリン山脈が走っている海岸沿いの一帯が山地性で,内陸部の中国との国境をなすウスリー川沿いとハンカ湖周辺に平野がある。気候は季節風の影響で夏季に雨量が比較的多く,冬季は比較的短い。海面は冬季結氷する。原住民はツングース系のナナイ人(ゴリド人)やウデヘ人など。ロシア人,ウクライナ人の移民は,はじめオデッサ~ウラジオストク間の義勇艦隊航路(1883開設)により,ついでシベリア鉄道(1891着工,1903開通)によってこの地方に入り,今日では両民族が人口の95%を占めている。また中国・朝鮮・日本からの移民や出稼ぎもかつてかなり顕著で,とりわけ日本の植民地支配をうけた朝鮮からの移住者が革命と内戦の時期まで激増した。内戦期には他の連合国とともに日本の軍隊もこの地方に進駐し,住民の強い抵抗をうけた。内戦と干渉の終結後,ソビエト政権により経済開発が本格的に進められた。豊富な鉱山・森林資源と良港ウラジオストク,ナホトカをもち,水産業,鉱工業,林業,米作を含む穀物生産もさかんである。軍事的には太平洋艦隊の基地ウラジオストクをもち,国境を控えて戦略上きわめて重要である。なお《デルスー・ウザーラ》など,アルセーニエフの作品は,20世紀初頭のこの地方の人と自然を活写している。
執筆者:原 暉之
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ロシア極東の一地方。渤海(ぼっかい),遼,金に支配され,元以後中国領,アイグン条約,北京条約でロシア領となる。ウラジヴォストークを中心とするロシアの対極東根拠地となっている。
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ロシア連邦の東部、沿海地方の旧称であるが、日本では現在も「沿海州」の名でよばれることが多い。
[編集部]
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「プリモルスキー地方」のページをご覧ください。
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