日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニジコショウダイ」の意味・わかりやすい解説
ニジコショウダイ
にじこしょうだい / 虹胡椒鯛
goldenbanded sweetlips
[学] Plectorhinchus chrysotaenia
硬骨魚綱スズキ目イサキ科コショウダイ亜科に属する海水魚。屋久島(やくしま)、南西諸島、台湾、南シナ海、タイランド湾、オーストラリア北西岸など西太平洋に分布する。体は楕円(だえん)形で、側扁(そくへん)する。口は小さいが、口唇は厚く、成長するにつれていくぶん肥厚する。下顎(かがく)の腹面に6個の小孔(こあな)があるが、中央に溝はない。背びれに欠刻(切れ込み)がなく、13棘(きょく)18~21軟条からなる。尾びれの後縁は截形(せっけい)(後縁が上下に直線状)または湾入形。体と頭は鮮やかな薄紫色もしくは青緑色~空色で、全面に5~7条の鮮やかな橙黄(とうこう)色の縦帯が走る。ときには縦帯の間に、より淡色の黄色の線や、点状の線がある。ひれは全体に淡黄色で、背びれに黄色の3縦帯がある。幼魚の体色は成魚に似るが、縦帯の数が少ない。体全面に走る縦帯で他種と容易に区別できる。全長は約50センチメートルになるが、普通は40センチメートルほど。沿岸の岩礁域やサンゴ礁の水深20メートルぐらいの崖(がけ)や斜面にすみ、単独あるいは50尾ぐらいの群れでいる。おもに釣り、突きで漁獲されるが、日本では多くとれない。刺身、煮魚、焼き魚などにするとおいしい。
[尼岡邦夫 2018年7月20日]