日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノコギリクワガタ」の意味・わかりやすい解説
ノコギリクワガタ
のこぎりくわがた / 鋸鍬形虫
[学] Prosopocoilus inclinatus
昆虫綱甲虫目クワガタムシ科に属する昆虫。日本各地および朝鮮半島に分布する。体長は雄36~71ミリメートル、雌24~30ミリメートル。黒褐色から暗赤褐色のクワガタムシで、光沢はやや鈍い。雄の大あごは強大で、小形のときはまっすぐ前へ伸びて内側に鋸状に歯があるが、大形になると牛角状に湾曲し、内側の歯は先半分だけになり不ぞろいになる。成虫は7、8月ごろ低山地から平地に多く、クヌギ、ナラ、ヤナギなどの樹液に集まり、夜灯火にもくるが、幼虫は広葉樹の朽ち木の中にすみ、2、3年かかって成虫になる。伊豆諸島の八丈島や琉球諸島(りゅうきゅうしょとう)にはそれぞれ近縁の別種がいる。
[中根猛彦]