出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…このような〈遊牧帝国〉とも呼びうる強大な国家が,中央アジア史上に華々しい活動を見せた,匈奴,突厥(とつくつ),ウイグル,モンゴル帝国等の諸国家である。 これらの遊牧国家ないし遊牧帝国の君長は,それぞれの国家ないし帝国の形成にあたって,その形成の中核となった特定の一氏族の成員の中から選出され,単于(ぜんう)ないしハーンの称号を名のったが,これらの君長の選出や,外国遠征等の国家の重要事は,その国家の構成メンバーである諸部族の支配者たち,すなわちベグないしノヤンと呼ばれた遊牧貴族たちから成る国会(クリルタイ)の議を経て決定された。すなわち遊牧国家の君長は,彼らが特定の氏族のみから選出されるというところに由来するある種のカリスマ性を具有していたにせよ,十分の統率力をもちあわせぬ場合には,ただちに遊牧貴族らによって交替させられるという意味において,決して絶対的な君主ではなかった。…
…テムジンは建国の過程で打倒した部やオボクの人畜多数を自分で保有し家族に与えた以外は,恩賞として主としてノクルに分与し管理させたようである。そして建国時にオボクとは別の遊牧民伝統の十進法的編成の千戸を国制の基本として採用し(オボクは消滅したわけではない),彼に仕えてきた功臣88人を千戸の長(ノヤン)に任命し,95の千戸を支配させたが,彼らの多くはノクルであったのである。多分彼らの率いた千戸の多くは,かつて彼らに分与された者たちを基礎に組織されたのであろう。…
※「ノヤン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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