日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノンニの冒険」の意味・わかりやすい解説
ノンニの冒険
のんにのぼうけん
Nonni
アイスランド生まれの童話作家スウェンソンがドイツ語で発表した少年小説『ノンニ』(1913)と『ノンニとマンニ』(1914)の邦訳名。前者は、フランスに留学することになったノンニ少年が、嵐(あらし)で船が流されて氷山にぶつかるような経験をしながら、少年船員といたずらをしたり、シロクマに襲われて片足を切断した船員を看病したりして、デンマークに着くまでを描く。後者は、まだノンニがアイスランドにいたころに、弟のマンニと舟でフィヨルドに遊びに出て難破、フランスの軍艦に救われる話。著者はカトリックの神父であるだけに、冒険に満ちた話のなかにも清らかな敬虔(けいけん)な気持ちが流れ、絶好の少年読み物となっている。
[山室 静]
『山口四郎訳『ノンニの冒険』(1960・あかね書房)』▽『山室静訳『ノンニ兄弟のふしぎな冒険』(1982・ぎょうせい)』