ハインリヒ・フォン・モールンゲン(読み)はいんりひふぉんもーるんげん(その他表記)Heinrich von Morungen

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ハインリヒ・フォン・モールンゲン
はいんりひふぉんもーるんげん
Heinrich von Morungen
(1150ころ―1222)

中世ドイツの叙情詩人。マイセン辺境伯ディートリヒ4世に仕えた騎士ミンネゼンガーなかでは最高の叙情的天分に恵まれた人といえる。生彩ある幻想的視覚、優れた比喩(ひゆ)、神秘的な想像を駆使して高貴な女性へのあこがれを歌った。その飛翔(ひしょう)するような恋愛感情は、中世詩の制約を超えて永遠に新しい。また彼の音楽性豊かな押韻技法と詩形彫琢(ちょうたく)は中世恋愛詩の可能性を極限まで拡大したといえる。

[高津春久]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ハインリヒ・フォン・モールンゲン
Heinrich von Morungen

[生]?
[没]1222. ライプチヒ
中世ドイツの詩人。 33編に及ぶミンネザング (恋愛詩) は,情熱的で直接的な女性賛美の歌であり,プロバンストルバドゥールの強い影響を受けている。

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世界大百科事典(旧版)内のハインリヒ・フォン・モールンゲンの言及

【ミンネザング】より

…一方,ミンネザング興隆の原動力は,エロスの歌を楽しむ人間集団の現世肯定的欲求にあり,そのような人々のために歌うミンネゼンガーの詩作態度も,倫理的たてまえと官能的本音の間を微妙に揺れ動いて,両者の種々の組合せの中から生まれるニュアンスの多様性を楽しむ独特の文学形式となった。初期のドナウ地方の詩人キュルンベルガーder Kürnberger,ディートマル・フォン・アイストDietmar von Aist,ライン地方の先駆者フリードリヒ・フォン・ハウゼンFriedrich von Hausen(1150ころ‐90),最盛期の代表的詩人ハインリヒ・フォン・モールンゲンHeinrich von Morungen,ラインマル・フォン・ハーゲナウReinmar von Hagenau,ワルター・フォン・デル・フォーゲルワイデ,崩壊期のナイトハルトら,愛という唯一のテーマを歌いながら,表現技術の面ではそれぞれに独自性をもつ。しかし,このジャンルの生産的な時期は1220年ころで終わり,その後は急速に亜流化していく。…

※「ハインリヒ・フォン・モールンゲン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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