数列a1, a2,……, an,……において、添数のnが限りなく大きくなるとき、anの値がある値Aに限りなく近づくならば、anはAに収束するといい、Aをこの数列の極限値limit valueといって、
と書く。また、nを大きくするとき、anが限りなく大きくなるならば、anは正の無限大に発散するといい、
と書く。nを大きくするとき、anが負でその絶対値が限りなく大きくなるならば、anは負の無限大に発散するといい、
と書く。anがある極限値に収束する場合、あるいは正または負の無限大に発散するとき、極限があるといい、そうでないとき、極限がないという。数列の極限はこのように、数列においてnが限りなく大きくなるとき、anがどのようになるかを考えるための概念的な用語である。
[竹之内脩]
関数f(x)はx=aの近くで定義されているとする(x=aでは定義されていなくてもかまわない)。このときxが限りなくaに近づくときf(x)の値がどのようになっていくかが極限の問題である。
(1) f(x)はある定まった値bに限りなく近づく。このとき、f(x)はbに収束するといい、bを、xがaに近づいたときのf(x)の極限値といって、
と書く( の(1))。
(2) f(x)はいかなる値をも超えて大きくなっていく。このときf(x)は正の無限大に発散するといって、
と書く( の(2))。f(x)が負の値をとって、その絶対値が限りなく大きくなるとき、f(x)は負の無限大に発散するという。以上が極限のある場合である。次に極限のない場合を考える。
(3) f(x)は有界(関数の値が、ある数を超えず、また、ある数より小さくならないとき、その関数を有界であるという)であるが極限のない場合( の(3))。
(4) f(x)は有界でなく極限のない場合(
の(4))。 なお極限のない場合、aの片側だけをみると極限のある場合もある( の(5)・(6))。左側から近づいたときの極限値があるとき、これを左側極限値といい、
で表す。同様に、右側極限値
が定められる。
[竹之内脩]
数列を考えると,この数列の第n項は,nが限りなく大きくなるにつれて0に限りなく近づく。一般に一つの無限数列{an|n=1,2,……}の第n項anが,nを限りなく大きくするときある一定の数Aに限りなく近づくとき,この数列は収束するといい,Aをこの数列の極限値と呼ぶ。記号で,で表す。例えば数列は収束し,極限値はそれぞれ0,1である。収束しない数列を発散数列と呼ぶ。それらのうち,
(1)1,2,22,23,……,2nのように,nが大きくなるに従って第n項anが限りなく大きくなるとき,この数列は正の無限大に発散するといい,とかく。
(2)同様にの場合が定義される。
(3)その他の場合,その数列は振動すると呼ばれることがある。実数列が収束するために必要十分な条件は,それが基本列をなすことである。
執筆者:杉江 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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