極限(読み)きょくげん

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

極限
きょくげん

数列a1, a2,……, an,……において、添数のnが限りなく大きくなるとき、anの値がある値Aに限りなく近づくならば、anはAに収束するといい、Aをこの数列の極限値limit valueといって、

と書く。また、nを大きくするとき、anが限りなく大きくなるならば、anは正の無限大に発散するといい、

と書く。nを大きくするとき、anが負でその絶対値が限りなく大きくなるならば、anは負の無限大に発散するといい、

と書く。anがある極限値に収束する場合、あるいは正または負の無限大に発散するとき、極限があるといい、そうでないとき、極限がないという。数列の極限はこのように、数列においてnが限りなく大きくなるとき、anがどのようになるかを考えるための概念的な用語である。

[竹之内脩]

関数の極限

関数f(x)はx=aの近くで定義されているとする(x=aでは定義されていなくてもかまわない)。このときxが限りなくaに近づくときf(x)の値がどのようになっていくかが極限の問題である。

(1) f(x)はある定まった値bに限りなく近づく。このとき、f(x)はbに収束するといい、bを、xがaに近づいたときのf(x)の極限値といって、

と書く(の(1))。

(2) f(x)はいかなる値をも超えて大きくなっていく。このときf(x)は正の無限大に発散するといって、

と書く(の(2))。f(x)が負の値をとって、その絶対値が限りなく大きくなるとき、f(x)は負の無限大に発散するという。以上が極限のある場合である。次に極限のない場合を考える。

(3) f(x)は有界(関数の値が、ある数を超えず、また、ある数より小さくならないとき、その関数を有界であるという)であるが極限のない場合(の(3))。

(4) f(x)は有界でなく極限のない場合(の(4))。

 なお極限のない場合、aの片側だけをみると極限のある場合もある(の(5)・(6))。左側から近づいたときの極限値があるとき、これを左側極限値といい、

で表す。同様に、右側極限値

が定められる。

[竹之内脩]


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精選版 日本国語大辞典の解説

きょく‐げん【極限】

〘名〙
① (━する) 極めてせまい範囲に限定すること。
※女工哀史(1925)〈細井和喜蔵〉二「人間の技倆は機械の働きの如く、世の進歩と逆比例に段々極限されて行かねばならぬ」
② 物事の限度ぎりぎりの所。
※なよたけ(1946)〈加藤道夫〉第一幕「恋とは夢だ。…『夢』とは全き放心だ。その正しい極限では一切が虚無となる」
③ =きょくげんち(極限値)〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕

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世界大百科事典 第2版の解説

きょくげん【極限 limit】

数列を考えると,この数列の第n項は,nが限りなく大きくなるにつれて0に限りなく近づく。一般に一つの無限数列{ann=1,2,……}の第nanが,nを限りなく大きくするときある一定の数Aに限りなく近づくとき,この数列は収束するといい,Aをこの数列の極限値と呼ぶ。記号で,で表す。例えば数列は収束し,極限値はそれぞれ0,1である。収束しない数列を発散数列と呼ぶ。それらのうち,(1)1,2,22,23,……,2nのように,nが大きくなるに従って第nanが限りなく大きくなるとき,この数列は正の無限大に発散するといい,とかく。

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