はしり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「はしり」の意味・わかりやすい解説

はしり
はしり / 走り

「はしり物」ともいい、魚菜などのそれぞれの季節より早めに出るものをいう。浅春ワラビを早厥(さわらび)、晩春ころマツタケを早松(さまつ)といい、これらの時期はずれに早くとれるものは珍しくはあるが、味は概していまひとつというものが多い。それに、いまは施設園芸大半の野菜類は季節に関係なく一年中生産されているので、季節感が薄くなっている。回遊魚は、たとえば相模灘(さがみなだ)のカツオ新緑のころ、房総沖のサンマ晩秋のころのものとされていた。正月の九州のカツオ、7月の北海道沖のサンマは各地に輸送されると、それをその地方では「はしり物」としている。

多田鉄之助

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android