はしり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「はしり」の意味・わかりやすい解説

はしり
はしり / 走り

「はしり物」ともいい、魚菜などのそれぞれの季節より早めに出るものをいう。浅春ワラビを早厥(さわらび)、晩春ころマツタケを早松(さまつ)といい、これらの時期はずれに早くとれるものは珍しくはあるが、味は概していまひとつというものが多い。それに、いまは施設園芸大半の野菜類は季節に関係なく一年中生産されているので、季節感が薄くなっている。回遊魚は、たとえば相模灘(さがみなだ)のカツオ新緑のころ、房総沖のサンマ晩秋のころのものとされていた。正月の九州のカツオ、7月の北海道沖のサンマは各地に輸送されると、それをその地方では「はしり物」としている。

多田鉄之助

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android