改訂新版 世界大百科事典 「ハダカエソ」の意味・わかりやすい解説
ハダカエソ
Lestrolepis japonica
ヒメ目ハダカエソ科の深海魚。体表にうろこがなく体全体が半透明なのでハダカエソの名がある。口は大きく,上あごと下あごには数本の犬歯と多数の小歯がある。眼の前縁に明りょうな一黒点をもつ。体は細長く側扁する。背びれは小さく体の中心よりやや後にある。しりびれは体の後部の1/4を占める。腹びれは体のほぼ中心にある。あぶらびれをもつ。腹びれ直下より肛門直前までの腹面に沿って2本の発光組織がある。南日本から西部太平洋,インド洋の亜熱帯・熱帯海域の深海に生息する。ハダカエソ科Paralepididaeの魚類は全世界に約50種が知られており,日本近海には20種が出現する。いずれも深海性で,鋭い歯をもち魚類やエビ類を捕食する。水産上漁獲の対象ではないが,沖合から外洋域にはふつうに見られ,とくに熱帯域に多い。カツオ・マグロ・カジキ類,クジラ類の胃内からも頻繁に見いだされる。一方,深海に係留した科学調査用機器のロープを鋭い歯でかみ切ることでも知られる。
執筆者:川口 弘一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報