ステップ(読み)すてっぷ(英語表記)steppe

翻訳|steppe

デジタル大辞泉 「ステップ」の意味・読み・例文・類語

ステップ(step)

[名](スル)
歩調。足どり。特に、ダンスの足の運び。また、そうした足どりで歩むこと。
列車・電車・バスなどの昇降口の踏み段。
物事の進行上の段階。「成功への第一のステップ
野球で、投球・打撃の際、足を踏み出すこと。
陸上競技三段跳びで、ホップに続く二段目の跳躍。
登山で、氷壁や雪渓などの急斜面を登降する際に、ピッケルで刻む足場。
コンピュータープログラムの一行。また、一つの命令。
[類語]段階順序次第序次手順段取り手続き筋道

ステップ(steppe)

半乾燥気候下の樹木のない草原地帯。本来は、シベリア南西部から中央アジアにかけて広がる大草原をさす。広義には北アメリカプレーリーアルゼンチンパンパスアフリカオーストラリアの砂漠に続く草原などを含めていう。
[類語]草原くさはら湿原サバンナ

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精選版 日本国語大辞典 「ステップ」の意味・読み・例文・類語

ステップ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] step )
  2. (ほ)。一歩。また、歩調。足取り。〔舶来語便覧(1912)〕
  3. ダンスの時の、定められた足の動かし方。
    1. [初出の実例]「それに合せて、甲谷は小きざみなステップを踏み始めた」(出典:上海(1928‐31)〈横光利一〉二)
  4. 鉄道、バス、旧式の乗用車などの乗り物の、昇降口の踏み段。
    1. [初出の実例]「タクシーの踏床(ステップ)からヒラリと跳びおりた若い二人づれ」(出典:アパアトの女たちと僕と(1928)〈龍胆寺雄〉一)
  5. 階段。
    1. [初出の実例]「彼はステップを静かに下って廊下へ出た」(出典:ある死・次の死(1921)〈佐佐木茂索〉七)
  6. 段階。「第二のステップへ事を進める」
  7. 登山で、アイスバーンなど氷のようになった斜面を登り降りするために、ピッケルで刻む足場。
  8. ( ━する ) 陸上競技の三段とびの、二段目の跳躍。
  9. ( ━する ) 野球で、投手・野手が投球の際、または打者が打撃の際に足を踏み出すこと。

ステップ

  1. 〘 名詞 〙 ( [ロシア語] stjep' ) 主として中緯度地方に見られるほとんど木のない温帯草原。本来は東ヨーロッパ南部からシベリア南西部に続く草原をいう。砂漠の周辺を取り巻くように分布し降水量が少ない。北アメリカのグレートプレーンズ、アルゼンチンのパンパのほか中央アジア、アフリカ、オーストラリアの砂漠の周辺などに見られる。
    1. [初出の実例]「西欧の陰欝は牧場的風土の陰欝であってステップの陰欝ではない」(出典:風土(1935)〈和辻哲郎〉二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ステップ」の意味・わかりやすい解説

ステップ
すてっぷ
steppe

もともとはウクライナからカザフスタンにかけての広大な温帯草原をさすことばであったが、ドイツの気候学者ケッペンが世界の気候区分を行った際、熱帯草原まで含めてステップ気候(BS気候)を設定したため、適用範囲が拡大された。一口にいえば、湿潤な森林地帯と乾燥した砂漠の中間を占める植生帯のうち、雨が少ないため樹木を欠き、イネ科やキク科の草本を主体とする草原がステップである。広義にはプレーリーやパンパなど丈の高い草からなる草原も含むが、温帯の草丈50センチメートル以下の草原に限定してこの語を用いることも多い。

 気候的には降水量がおよそ年間250~500ミリメートルの地域に出現し、土壌は栗色(くりいろ)土壌ないし厚い腐植層をもつ黒色土壌である。分布域は旧ソ連地域南西部のほか、モンゴル、アフリカのサヘル地方、南アメリカのベルド、北アメリカのグレート・プレーンズなどで、雨の比較的多い所は農耕地化されているが、牧場や遊牧地に用いられている部分が多い。近年多くの地域での過放牧や無理な耕作に起因する砂漠化の進行は、住民の生活をますます苦しくしている。

[小泉武栄]

植生

ステップではイネ科植物のウシノケグサ属、ハネガヤ属のほか、キビ属、ウシクサ属などがおもな構成種となるが、乾燥と湿潤の度合いによって広葉型草本種(中央アジアの乾燥したステップではヨモギ型植物)が主要な構成種になることもある。また、ステップのなかには塩性ステップのように耐塩性の強いアカザ科植物が優占する群落もある。

[大賀宣彦]

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改訂新版 世界大百科事典 「ステップ」の意味・わかりやすい解説

ステップ
steppe

ロシア語のstep'(草原)に由来し,温帯草原,荒草原などともいう。砂漠の外側でこれよりもやや湿潤度の高い地域に成立し,さらに外側では森林またはサバンナに漸移する。カスピ海,アラル海の北に広がるカザフ・ステップ(旧名キルギス・ステップ)を中心に,西はハンガリーのプスタ,東は天山山脈の山麓を経てモンゴル高原の草地に至る一帯が代表的で,放牧または遊牧が行われているが,黒海北岸の黒土地帯をはじめ,すでに耕地化された地域も広く,古来,文化の伝播路の一つでもあった。アフリカ南部のベルドveld,veldt,北米のプレーリー,アルゼンチンのパンパも同種の草原である。ステップ地域では一般に,年降水量が1000mm未満で数ヵ月の乾季があり,気温の年較差も大きい。とくに,気温上昇の著しい真夏に必ずしも降水量が多くないことが,冬の冷涼乾燥または厳寒とあいまって植生の生長を阻害している。川沿いなどを除けば高木はみられず,ときに低木をまじえる程度で,乾性のイネ科硬草が中心になった草原であるが,地域によってはキク科,マメ科,ユリ科などの草本も多く,降水量の少ない中央アジアの乾燥ステップではヨモギ類が主体になっている。パンパやプレーリーでは乾燥度は草丈に強く反映し,西部の乾燥パンパとグレート・プレーンズが草丈1mに達しない短草原であるのに対して,東の湿潤パンパや狭義のプレーリーは2mから3mに及ぶ長草原である。土壌も長草ステップに黒土,短草ステップには栗色土が対応している。
草原
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百科事典マイペディア 「ステップ」の意味・わかりやすい解説

ステップ

大陸温帯の半乾燥気候下に発達する草原地帯。湿潤な森林地帯と砂漠との中間帯。植生は丈の短い草を主とし,春の雨で繁茂し,夏の乾季に枯死する。土壌はおもに肥沃な黒土(チェルノーゼム)。ロシア語のstep'(草原)に由来し,ハンガリー平原(プスタ)からカザフスタンを経てモンゴル高原へ至る地域が代表的だが,米国のプレーリー,アルゼンチンのパンパなどもステップに含まれる。→草原
→関連項目アフリカ栗色土黒土地帯サヘルステップ気候ロシア

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ステップ」の意味・わかりやすい解説

ステップ
steppe

温帯草原。植物群系の一つ。温帯降水量の少ない平地に発達する。イネ科を中心とした大草原のうち,特にロシア,中国のものをいう。広義には熱帯を含めて砂漠周辺などの木のない草原全般や,プレーリーパンパス,南部アフリカの草原などをいう。雨量は年に 250~600mmくらい。草の 1年間の純生産量は 1m2あたりの乾量が,乾燥地で 400~900g,雨の多いところで 900~1000gくらいである。ヒツジやウシの放牧に利用されているところもあるが,農地になっているところも多い。ユーラシアでは降水量が多くなると,森林ステップを経て落葉広葉樹林(→落葉樹林)になり,乾燥するとヨモギ類などの生える半砂漠に移行する。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「ステップ」の解説

ステップ

正式社名「株式会社ステップ」。英文社名「STEP CO., LTD.」。サービス業。昭和50年(1975)前身の「ステップ学習教室」創業。同54年(1979)株式会社化。同57年(1982)「株式会社教育創造センター」に改称。平成3年(1991)現在の社名に変更。本社は神奈川県藤沢市藤沢。学習塾。主力は中学生対象の集団指導塾。神奈川県地盤。難関県立高校受験に実績。東京証券取引所第1部上場。証券コード9795。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「ステップ」の解説

ステップ

単位プログラムの行の単位、またはコンピューターが実行する処理の単位のこと。プログラムの開発量は、ステップ数を基準にして算出されることが多い。CAD⇒STEP

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世界大百科事典(旧版)内のステップの言及

【草原】より

…このように,単子葉植物の系統進化の先端に位置するイネ科草本は乾燥と動物による摂食・踏みつけに強く,草原の拡大とともに世界中に広がったことがよく理解できる。
[ステップsteppe]
 年降水量が250~750mmの温帯地域の気候的極相は草原となる。その代表例は,ハンガリーからモンゴルにかけてユーラシア大陸の中央部に広がるステップである。…

【草原】より

…相観に基づいた植生分類としてよく用いられるリューベルE.Rübelの分類では,植生は森林,草原,荒原に大別され,樹木の被度が50%に満たず,草本の被度が50%を超えるものが草原である。世界の草原面積の大半は,サバンナ,ステップなどの乾燥気候下での気候的極相である大草原が占め,そのほかに,湿潤気候下での地形的,土壌的極相である高山草原,高茎草原,湿原などや,遷移の途中相と考えられる火山草原,砂丘草原などがある。放牧,火入れ,採草などの人為が加わって維持されている半自然草原の面積も大きく,自然草原とあわせると世界の陸地面積の1/3近くを占める。…

【ロシア】より

…とりわけモスクワ時代以降ロシア人の活動の中心的な舞台となった地域で,各種の産業も盛んで都市も多く,人口は稠密である。(4)ステップ 腐植を多く含むチェルノーゼム(黒色土壌)からなる地域で,北寄りの一部には広葉樹もみられるが,概してハネガヤのような草が自生する。キエフの南から黒海北岸まで500kmの幅で,西はウクライナから南部ロシアの全体と中部ロシアの一部を包含し,ボルガ川の東では幅が狭まりながら西シベリアまで及んでいる。…

※「ステップ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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