ハドリアヌス帝のビラ(読み)ハドリアヌスていのビラ(その他表記)Villa Adriana

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハドリアヌス帝のビラ」の意味・わかりやすい解説

ハドリアヌス帝のビラ
ハドリアヌスていのビラ
Villa Adriana

ローマの皇帝ハドリアヌス (在位 117~138) が市の東 25kmのチボリ郊外に築いた別荘で,この時代の邸宅や庭園を今日に伝える数少ない遺跡の一つ。広大なローマ帝国の版図を転戦したハドリアヌスの旅の思い出をちりばめたとされる。ギリシアからはヒッポドロームやペキーレ (絵画装飾を施した柱廊建築) ,劇場,アカデミアを,またアレクサンドリアからはセラピス神殿に端を発する水流になぞらえたカノプスを配し,大小の浴場や図書館,ニンファエウムなどとされる部分が約 60~70haの敷地に散在する。軍営なども含み,ほぼ小都市といえる規模で,ビラの各部分は起伏のある敷地の形状に合わせて軸線を変えて配置され,廃墟となったいまも往時の姿を十分偲ぶことができる。 1999年世界遺産の文化遺産に登録。

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