ハネケ(英語表記)Haneke, Michael

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハネケ」の意味・わかりやすい解説

ハネケ
Haneke, Michael

[生]1942.3.23. ドイツ,ミュンヘン
オーストリアの映画監督,脚本家。冷徹で挑発的な作風で,ヨーロッパ映画界を代表する巨匠となった。作品の多くは,現代の中産階級を取り巻く社会的疎外感と暴力性を扱っている。ドイツ人の映画監督の父とオーストリア人の女優の母のもとに生まれる。ウィーン大学で哲学,心理学,演劇を学んだのち,1967年ドイツ連邦共和国(西ドイツ)のテレビ局で脚本家の職につく。舞台監督ののち,テレビ映画の監督を務めた。『セブンス・コンチネント』Der siebente Kontinent(1989)で映画界にデビュー。暴力的な内容が物議をかもした『ファニーゲーム』Funny Games(1997)で国際的に知名度を上げる。『ピアニスト』La Pianiste(2001)では,中年女性の性的欲求を描いて称賛を集めた。ある家族のもとに次々送りつけられる謎のビデオテープをきっかけに秘密が暴かれるサイコスリラー『隠された記憶』Caché(2005)は,カンヌ国際映画祭で監督賞など 3部門を受賞した。第1次世界大戦前夜にドイツ北部の田舎町で起こる不可解な犯罪事件を描いた『白いリボン』Das weisse Band(2009)でカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞。死と向き合う老夫婦の姿をとらえた『愛,アムール』Amour(2012)で 2度目のパルムドールと,アカデミー賞外国語映画賞を受賞した。

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