日本大百科全書(ニッポニカ) 「バナート」の意味・わかりやすい解説
バナート
ばなーと
Banat
かつてハンガリー南部に位置した多民族居住地域。ティサ川の東、ムレシュ川の南、ドナウ川の北、トランシルバニア・アルプスの西に位置する。ハンガリー人、セルビア人、ルーマニア人などが居住していたが、16世紀にオスマン・トルコ領、18世紀にオーストリア領、のちハンガリー領になった。第一次世界大戦後、東の3分の2弱をルーマニアが、残りを旧ユーゴスラビアが支配した。第二次世界大戦中、ユーゴスラビアの支配部分をドイツが占領下に置いたが、戦後ユーゴスラビア領に復し、ボイボディナ自治州となった。その後、ユーゴスラビア解体(1991)に伴い、セルビアとモンテネグロで構成される新ユーゴスラビア(2003~06年は「セルビア・モンテネグロ」)に、06年以降はセルビアに属している。
[木戸 蓊]