改訂新版 世界大百科事典 「ムレシュ川」の意味・わかりやすい解説
ムレシュ[川]
Mureş
ルーマニアとハンガリーを流れるティサ川の支流。ハンガリー語でマロシュMaros川。古代から知られた川で,古名をマリスMaris川という。全長766kmで,ティサ川支流中,最大の川であり,うち718kmはルーマニア領内を流れる。源流は東カルパチ山脈中のジュルジェウ盆地のボシュラベニ村の標高850mの地点である。トポリツァ・デダ峡谷を経て,トゥルグ・ムレシュまで急流をなすが,トランシルバニア盆地に入ると,流れは緩やかになり,湿地をつくりながら蛇行する。途中,アリエシュArieş川,トゥルナベ・マーレTîrnava Mare川,セベシュSebeş川など,トランシルバニア盆地内の河川を集め,アルバ・ユリア,デバなどの町を通り,ムレシュ回廊で西カルパチ山脈を横断する。西部平原に出ると,アラドを経て国境を越え,ハンガリーのセゲドでティサ川と合流する。流域面積は2万9767km2,平均流水量は国境地点で毎秒165m3である。
執筆者:佐々田 誠之助
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報