日本大百科全書(ニッポニカ) 「バハードゥル・シャー」の意味・わかりやすい解説
バハードゥル・シャー(2世)
ばはーどぅるしゃー
Bahādur Shāh Ⅱ
(1775―1862)
インド、ムガル帝国最後の皇帝(在位1837~1858)。第16代皇帝アクバル・シャーの長子。母はヒンドゥー教徒のラージプートの出。1837年62歳で即位。ザファルの雅号で詩人としても有名。1526年以来、統一帝国の光輝を保ってきたムガル帝国も18世紀後半からはイギリス東インド会社の侵略などにより衰退し、名目的な存続になっていた。1857年にインドの大反乱(セポイの反乱)が勃発(ぼっぱつ)、東インド会社の傭兵(ようへい)(シパーヒー)は皇帝を擁立してムガル帝国の復権を宣言。5~9月までデリーに反乱政権を樹立した。皇帝は反乱に加担したが、デリー陥落の際に降服。裁判により翌年ラングーン(現、ヤンゴン)に流刑となり同地で客死。ムガル帝国は滅亡した。
[長崎暢子]
『長崎暢子著『インド大反乱』(中公新書)』