日本大百科全書(ニッポニカ) 「バリスカン造山帯」の意味・わかりやすい解説
バリスカン造山帯
ばりすかんぞうざんたい
中部ヨーロッパを模式地とする古生代石炭紀からペルム紀の造山帯。ドイツのハルツ山地の名をとり、ヘルシニア造山帯ともよばれる。ユーラシア大陸とゴンドワナ大陸の間に生じ、西はアパラチア造山帯南部、東は天山(てんざん)造山帯に続く。北はイングランド南部・北ドイツから、南はアフリカ北部に及ぶ。堆積(たいせき)物は、北のカレドニア造山運動を受けた安定大陸から供給されたデボン系旧赤色砂岩源相、グレイワッケ砂岩や頁(けつ)岩からなり乱泥流堆積物を含む下部石炭系ライン相、石灰岩を主とする下部デボン系ボヘミア相(ハルツ相)に3大別される。バリスカン造山帯は花崗(かこう)岩をほとんど伴わない外側地帯と、花崗岩・低圧型変成岩の発達する内側地帯とに分けられる。中部ヨーロッパでは、前者は北に倒れた構造をしており、後者は反対である。つまり、扇状構造をなす。アルプス造山帯に比し、大規模な低角ナップ構造やメランジュ帯を欠く。また、高圧型変成帯も知られていない。
[岩松 暉]