日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハルツ山地」の意味・わかりやすい解説
ハルツ山地
はるつさんち
Harz
ドイツ中央部の山地。西北西―東南東に延び、長さ約100キロメートル、幅約30キロメートル。ドイツ中位山地の北端部にあたり、全般になだらかな山地であるが、西側と北側は比較的急傾斜をなす。ゲーテの『ファウスト』に出てくる最高峰ブロッケン山(1142メートル)は、山地の中央部にある。古くから銀、鉛、銅、鉄などの鉱石が採掘され、16世紀から18世紀にかけ、多くの鉱山が開かれてにぎわったが、現在ではほとんど採掘されていない。大部分が森林に覆われているが、低い緩やかな部分には農地も少なくない。谷をせき止めた美しい人造湖がいくつかあり、上水道用水源として用いられている。山間部や山麓(さんろく)には観光・保養地が多い。
[浮田典良]