改訂新版 世界大百科事典 「バンウコン」の意味・わかりやすい解説
バンウコン
(East-Indian)galangale
galingale
Kaempferia galanga L.
ショウガ科の多年草で,黄色の根茎には芳香があり,香辛料として利用される。全体は小型で,地下の分枝する根茎の頂部から1~3枚の葉を地表に展開する。根は部分的に肥大し球根になる。葉は短い葉柄があり,やや革質,広楕円形で長さ約10cm,幅5~9cmであるが,根茎から1枚だけのときは幅がより狭くなる。葉間からひどく短縮した4~10花あまりをつけた穂状花序を出す。花は1~2個ずつが開花し,3~5cmほどの長い花筒部があり,ほぼ白色で唇弁は紫色を帯びることがある。乾季には葉を落として休眠する性質がある。インド原産とされているが,東南アジアからマレーシア地域に広く栽培され,また観賞用に温室で栽植されることもある。全体にショウガに似た芳香と辛みがあり,根茎は米飯の着色,香りづけに,また葉や根茎は煮てからサラダのように利用されることがある。根の球根部分は飲料にされる。民間薬としても広く利用されている。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報