ばんえい競馬(読み)ばんえいけいば

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ばんえい競馬」の意味・わかりやすい解説

ばんえい競馬
ばんえいけいば

重いそりを曳(ひ)いた馬を競争させるレース。漢字では輓(挽)曳競馬と表記する。北海道独特の地方競馬で、2014年(平成26)時点で帯広(おびひろ)競馬場でのみ実施されている。最高1トンの鉄そりを体重1トン前後のばん馬に曳かせ、途中2か所に障害(およそ1メートルと1.6メートルの坂)を設けた全長200メートルの直線コースで勝敗を競う。荷物を運ぶレースであるため、一般の競馬とは異なり、馬の鼻先ではなく、そりの後端がゴールラインを通過することをもって勝敗が決まる。また、馬には重いそりを曳く力と持久力が求められ、騎手には障害を一気に駆け上るか、いったん停止して息を整えるかの判断など、独特の乗馬技術や駆け引きが求められる。そりの重量は「ばんえい重量」とよばれ、最低480キログラム(牝馬(ひんば)は460キログラム)から最高1トンまでがクラスごとに設定される。騎手重量はこれに含まれず、75キログラムに定められており、不足分は鉛のおもりで調整する。

 ばんえい競馬の原点は明治時代の北海道開拓に不可欠であった馬の力比べで、明治末期に農民祭りの楽しみとして、農耕馬にそりを曳かせる競馬が行われるようになった。1946年(昭和21)に地方競馬法(昭和21年法律第57号)施行規則第9条により公営化。1953年に旭川市、帯広市北見市岩見沢市に市営競馬が発足して運営されてきたが経営は苦しく、2007年(平成19)に帯広市以外の3市が撤退した。2013年度は運営経費の削減やインターネットの馬券販売が好調であったことに加え、北海道を舞台とする人気漫画『銀の匙(さじ)』にばんえい競馬が登場したことも手伝って、大幅な黒字を記録した。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵 「ばんえい競馬」の解説

ばんえい(輓曳)競馬

体重1トン前後の重種と呼ばれる品種の馬を用い、騎手を含めた所定重量の橇(そり)を引いて行う競馬。馬券発売を伴うばんえい競馬は長らく北海道の帯広・岩見沢・旭川・北見の4カ所で行われてきたが、2007年4月からは帯広のみの開催となり、運営は民間企業に委託された。北海道遺産に指定されており十勝観光資源としても期待されるほか、競馬の民間委託のモデルケースとしても注目されている。

(須田鷹雄 競馬ライター / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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